- 週末起業サバイバル (ちくま新書 811)
- 発売日: 2009/10
『週末起業サバイバル』藤井孝一
[2/175]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★★☆
今や「会社に属する」ことが、すなわち安定とは言えない社会になった。一昔前までは、そういう「警告」を発している人は少なからずいたけれども、時の経過とともに切実な問題になってきているのは事実だと思う。大企業だから、伝統企業だから、という「ブランド」はその意味を失いつつあり、小さくても、或いは個人でも、対等にわたっていける社会はむしろ歓迎すべき変換期なのだと思う。
属する先としての企業という集団(のブランド)よりも、「個」の方が重みを増している、ともいえる。個が確立していない限りは、どこに属していようと価値が薄れる、ってこと。これ自体は間違いないことであり、嘆くようなことではない。会社員であっても、そこに価値を生み出す個人である以上「そもそも論」でもある。
本書の内容は、「会社依存」ではリスクが高くなりつつある、個の確立、自立がなによりも必要である、というのが主題である。「企業ありき」というよりは、個人の、依存からの脱却、(経済的な意味も含め)自立。会社員であれば少なくとも「経済的」には...というのは、属している「今」だけの話。確かに身を持ってわかることでもある。
その前提の上での「起業」を、どのように進めていくのか、という方法論も展開されるが、前述の通り「起業ありき」ではないので、現在の就業を維持しつつ、ネットをはじめとする資金が少なくてすむところからの「スモールスタート」を推奨。資金だけではなく(むしろそれ以上に)「時間」という課題はありつつも、その捻出の仕方にも触れる。
個の確立は、「本業」にもいい結果を生み出す、といった「キレイゴト」も多少は書いてあるけれども、結果としての独立の時期などにも触れていて、終始「個」という軸が貫かれているので、まさにその渦中にいる(ど真ん中にいる)自分としては非常に興味深い内容である。
起業はもちろん楽ではない。ネット環境の普及で「会社という場所」にいる必要は確かに「表面的には」なくなったかもしれないが、やはり「顔を合わせる」という利点も存在し続けているのも確か。要は、起業に関する「アイデア」と、「本業」における内外両面での「人とのつながり」の重要性であろうと思う。後ろにある会社があっての付き合いなのか(もちろん最初はそうであろうが)、そこから発展して個人としての付き合いに高めていくのか。まさに「個の確立」であり、これは「会社員」であっても(あるからこそ)高められる資質であると思う。
アイデアと人脈とモチベーション、そして継続。起業(とそれをカタチにする)に必要な重要なファクター。が、考えてみればこれらって「起業」にだけ必要なことではないよね。「本業」にだって必要なこと。ただ、本書を読んでいて感じたのは、「本業で成し遂げてから」「準備が万端揃ってから」考え始めたのでは、遅い、ってこと。これは明確ですね。
【ことば】人は、変化を嫌います...行動しない道を選びがちです。しかし、その時楽な道を選ぶことが、後で大きな後悔につながることもあります。
なんど「後悔」したことか...動いて後悔したことも含めて、ですけれど。でも、自分から動かないことには周りは変わらない。「属する」ことの(自分にとっての)弊害があるのならば、動こうと思う。だって、もうあまり時間はないのだから...
週末起業サバイバル (ちくま新書 811)
【書評家のご意見】
本書の書評、見つけました!いろいろな意見、読み方があってもいいですよね
考えるための書評集
My読書レビュー
0 件のコメント:
コメントを投稿