2009/08/12


[成功のコンセプト](83/BookOff)

AMAZON ★★★★
K-amazon ★★

楽天の三木谷さんは同年代として、企業家として、まさに尊敬に値する人物。
単に時流に乗っただけではなく、表に出さない「泥臭い」ビジネスをされていると思う。
初めて彼の本を読んだ。

所謂「物書き」ではないので、一般的なビジネス書とは異なるテイストなのは当たり前だけど、書き方が平易で読みやすいんだけど、正直つまらない。ほんとにすごいヒトなのか、この本を読んだだけではうかがい知れない。もしも楽天の創始者であることをしらなかったら、なんにも残らないような印象。
勝手いうけど、やはり「ブログ」的な書き方なのかなあ、という印象(これが悪い、というわけではない。ただ馴染まないのは事実)。

一企業のスタンスとして、企業家、経営者としてのマインドとしての「コンセプト」は素晴らしいのだが、ひとつモヤモヤしていたのが読後に気づいたのだけれど、楽天の「お客様」は出店する企業なのだけれど、
この本の中では(敢えて、なのかもしれないけど)実際に楽天でお買い物をされる「お客様」のことが何一つ触れられていない。出店者がどう、楽天がどう、という評価はつまりは「お客様」の評価であることは自明なのだけれど、そこが抜け落ちているのか、ここでは書かれていないだけなのか。

実際のビジネスで、楽天市場に出店している店舗の運営も自分の仕事の範囲であり、楽天のスタッフの方々と話す機会もあるんだけど、いつも気になっているのはその点。なので余計にその代表者がどんなことを思っているのか知りたかったんだけど、その点は不満。

目標の設定や、仕事に対するマインドについては、どこにでもあるような内容なので新しい発見は無し。

どうしても腑に落ちないのは、著者が学生時代のテニス部だったとき、下級生時代に「タマ拾い」をさせられたことに対して憤って、その部を辞めたことについて書かれていたこと。つまりは「実力社会」だから年齢が下、という理由だけで意味のないことをやる必要はない、という考え方らしい。そのことについて誰も異議を唱えないのはおかしい、と本書の本筋ではないところで書かれている。

これっていろいろな考えがあるけれども、今遠い昔を考えてみると(自分はテニス部ではないけど)、「タマ拾い」すらできない人間は会社に入って、チーム単位で目標に向かっていく、という仕事をする上でとても「やりにくい」タイプになる可能性が高いと思う。もちろん「年下」ということだけで「雑用」が当然に回されるのは「おかしい」のかもしれないけど、実はこれって自ら率先して雑用ができない人間が「義務」化されてそれができるようになる訓練の場、だったりする。これができないといろいろな年齢、経歴のヒトが集まる職場ではかなり浮いた存在になる。「理由」をつけてやらない、というスタンスに立つスタイルができてしまう危険がある。なぜならば、言われなくても自らできる人間がいるわけだし、それをしてくれれば感謝の気持ちが生じるし。感謝の気持ちが持てるかどうかは、自分が理不尽な「タマ拾い」をした経験があるかどうか、そこにかかっているから。

...本の感想、から離れてしまった。もちろんこれで全否定をするわけではなく、企業家、ビジネスマンとしては引き続き尊敬に値する人物であることは変わりはない。著者としてはどうかな、ってだけ。



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