『会社が嫌になったら読む本』楠木新
[21/207]BookOff
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★★★
通常は「先入先出」で、買った順に読んでいるのだが、買ってすぐに読み始めた...タイトルに刺激されたこともあるけれど、理由は説明できないが「呼んでいる」気がして...通常の自分の「書斎」である電車内では若干読みにくい(カバーをして読んでいないので)のだけれど、タイトルから想像されるのは所謂「刺激的なハウツー」本、若しくは「後ろ向きな、病的な」本だろうと思う。...非常に「まじめな」内容です。この年代に「発症」しがちな「会社本位」の生き方でよいのかどうかというアンチテーゼ。これに対応する自分自身の軸をどのように考えるのか、どういう方向に持っていくのか。単純な「スキルアップ」の本ではない。あふれている「キャリアプラン」とも違う。もちろん「うつ」に対する何かのヒントが直接的に書かれているわけでもない。著者は会社という組織にいながら、一時「離脱」された経験をお持ちでその時に考えたことや、その後の「転身者」へのインタビューを繰り返す中から何かを見つけた。「転身」という言葉を使っているのも新しいし、気持ちがよい。前向きな感じがする。大手企業でのぼりつめた方々が中心ではあるが、従来の会社本位の流れから、個人を主役に置いた生き方、数字や経営指標を追い求める姿から、他社への役立っていることを求める姿へ。そのような「転身」をされた方々は、著者のインタビューにおいては皆さん、「いい顔」をされている、という言葉が何度も出てくる。これって抽象的に見えるけれども、人間として本質だったりする。思えば、20数年前。就職にあたり父親と神保町の喫茶店で話をしたことを思い出した。その時に自分が言った言葉は「いい顔になりたい」ということだった。20年の時間は流れて、自分は「いい顔」になっているのか?なってきているのか?自問する。もしも「まだ」であっても、これからの時間だって十分にある。人生80年と考えれば折り返し地点にたどり着いたに過ぎない。前半と後半、同じ走りをすることはないし、前半を振り返りすぎても時間はなくなるだけだ。そんな前向きな気持ちになれる。
今、そういう気持ちなんだろう。故にBookoffの本棚で引き寄せられて手にとって、すぐに読み始めたのだろう。これも何かのきっかけであるはず。著者が本書で繰り返し述べている、「行動すること」。転身して「いい顔」になっている方々は、その転身においては「行動」の中できっかけを得て、行動の中から「成長」する場所を見出している。もちろん従来のものを捨てるという挫折感や、思い描いていたイメージと異なる場面など、数え上げてたらきりがないくらいだろうと思われる。でも結果として「いい顔」になっているんだ。「いい顔」になるために自分はどうすべきなのか。行動しながら決めていこう。だって「いい顔」になりたい。20年を超えて実現すべき目標なのだから。
会社が嫌いになったら読む本(日経プレミアシリーズ)