[奇跡のリンゴ](53/RakutenBooks)
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K-amazon ★★★★★
「かっこいい...」
表紙の写真、リンゴ農家の木村さんを見て、本を読んだ後に
もう一度みて、心底そう思った。
リンゴ農業においては「ありえない」無農薬無肥料栽培に挑み、
周囲からの孤立、無収入、挫折、「死」まで考えた末に「答え」を見つける...
当然、本になっているくらいだから、最後には成功、という頭で
読み始めてたが、それでも感動、感動...
タイトルにある「奇跡」は、間違っていると思う。
木村さんは、執念、思いを少しも曲げず、何年も取り組んだ。挫折する
タイミングはいくらでもあったはず。「意地」でもあったと思う。
ただ、偶然にその「答え」を求めていたわけではなく、そこには(全て
失敗しているのかもしれないけど)「実験」があり、失敗しては次の「実験」が
あったはず。
常識にとらわれない「信念」を持ち続けることがどれほど難しいか...
周りの協力があったとしても、それにいつまで甘えてよいのか...
「普通」の生活をしている自分には想像もつかないくらいの葛藤、苦悩が
そこにはあったはず。
別の観点からみれば、それほどの「非常識」な信念も貫き、誰も考えもしないような
ことを達成するには、「想像もつかないくらいの」努力、苦労、時間が必要なの
だろうと思う。(それだけ努力、苦労しても、時間をかけても「成功」しないことの
方が多いんだろうけど)
素敵だな、と思ったのは、無農薬無肥料栽培が実現できたこと、だけではない。
彼が、何年もかけて、そして「死」を覚悟してまでも見つけたその「手法」を
求められれば誰にでも惜しげもなく教えている、ということ。
そして、その「奇跡のリンゴ」をできるだけ安く売る=できることならば日本中の人に
食べてもらいたい、と思っていること。
もちろん農業であっても、ビジネスであり、自分が生きていくための糧であるから
きれいごとで済む話ではない。
しかしながら、この本を読むだけでも、木村さんが語っている言葉に偽りはなく、
これを心底から言える、ということは素晴らしいことだと思う。
「私にできるのは、リンゴの木の手伝いをすることだけだ。」
いつも読んでいるようなビジネス本ではない。そこに今日から活かせるノウハウは
書いていなかった。そもそも自分の今の仕事とは対極にあるくらい離れている話である。
その「成功事例」というよりは、ひとりの男の、その不器用な、泥臭い話として、
ここ最近読んだ本の中でも、最も感銘を受けたもののひとつである。
いつかまた読み返してみたい。
この本は、同業のIさんから紹介をいただいた。ご紹介いただかなければおそらく
出会うことが、読むことがなかった本だと思う。
そんな「出会い」に感謝。
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