2010/08/16

熱い。ここまで熱い。


『宇津木魂』宇津木妙子
[12/134]BookOff
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K-amazon ★★★

2000年シドニー「銀」、2004年アテネ「銅」に導いた、ソフトボール日本代表監督の著作。失礼ながら見た目にも「熱い」方だと思っていたが、この本も相当に「熱い」。金メダルにかける情熱、ソフトボールにかける思い、あふれんばかり(あふれているね)の熱が伝わってくる。その後著者が一線を退いた北京で、上野投手擁する日本代表は念願の金メダルを獲得する。もちろんそれは永く監督を務めてきた著者の功績に負うところは少なくない。
実業団チームにおいて、部員の恋愛まで禁止するような「スパルタ」は、今の時代は合わないだろう。「現代の」若者たちに、監督の「思い」をどのように伝えていったのか。そこが知りたい。おそらく、だけど「ついていけない」選手たちも多かったのだろう。厳しい指導の中にも「思い」をお互いにわかりあえた選手だけが残り、その選手たちが偉業を成し遂げたのだと思う。
「熱さ」は伝わるのか。伝えるためには犠牲もあるんだろう。若干ネガティブかもしれないけれども、この本を読む進めていく中で思ったのはそこだったりする。著者は監督として、なぜ「金メダル」にこだわったのか、そしてそれを「伝える」のは情熱だけだったのか...わき目もふらず目標に対して邁進する監督の思いが、(おそらくは多少の)蛇行があったにせよ浸透していった結果がでたのだろうか。「若いもの」に伝えることに若干の限界を感じている自分にとっては興味津津、結局は自分の「熱さ」の不足だろうか...それも一部「ある」んだろう。
北京の金メダルに大きく貢献した上野投手への思い、そのあたりも書かれており、著者自身のことはわずかに触れられている程度。そんな内容からもチームに対する愛情を感じる。女性という立場故の御苦労も少なからずあったと思う。著者はあまり詳しくは触れていないけれども、外からの揶揄、内のやりにくさ、あったんだろう。なにしろ「ぶれてない」のが一番なのかもしれないね。少しだけ、「形式上」とはいえ「監督」ではなくなっている中で、現場を離れられない、「監督」を捨てきれない著者を感じるけど、そこは「熱さ」故、と理解。現在の監督は多少やりにくいだろうけど。
ここまで熱くなれるだろうか。ここまで熱くならなければいけないね。

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