2010/07/29

的を得た話ではあるけれども...


『「共感」で人を動かす話し方』菅原美千子
[19/122]bk1
Amazon ★★★★★
K-amazon ★★★

「伝える」話し方のプロである著者は、アナウンサーであり話し方の講師であり、話す「内容」だけはなく、組み立て方、見た目も含めたイメージの影響力、等々いろいろな場面でヒント、参考になる内容だった。例えば「BtoB」のプレゼンの場面だけではなく、講演、あるいは社内でのコミュニケーション、さらには「BtoC」の領域も。そういった意味ではコミュニケーション手段としての「伝わる」「動かす」話し方というのは、テクニックとしてではなく、アウトプットとして身に着けるべきスキル。副題にあるような「ロジックだけでは伝わらない」のは明らかであり、その前に発生する「感情」部分を視野にいれた「共感」の大切さを学ぶ。
確かに、わずかな人数であるチーム内でも「人を動かす」ことはとても難しい。「命令」であればその場は動かせるだろうけど、それでは「スポット対応」に過ぎないのだろう。「動かす」の前に「伝わる」(「伝える」ではなくて)ということを意識せねばならないね。ただ...相手を承認すること、命令ではなく要望を伝えること...書かれている内容については、正直以前にもどこかで見たようなものが多いし、また、若干の「キレイゴト」のような印象もある。本書の最後に書かれたフレーズ、「他人は変えられない。変えられるのは自分だけ」よく目にするものだ。自分の環境に置き換えてみれば確かに自分自身が変わらなければならない点は多い。でもなんとなく本書を読んでいて違和感を感じたのは、「動かす」というのは相手を変えることなのでは?と捉えられて、相手を変えるスキルを述べてきて最後に「変えられない」という矛盾を言われた感が...
それから(これは現在の自分の周辺のレベルの問題だが)、「相手」が一定レベルまで達していない場合について、なにかヒントがほしかった。相手を承認して(承認していることを本人にも分かってもらう)、その後に要望するなり、動かすなり...ということは理解できるが、そもそも「承認」のレベルまで達していないケースがある。常識のズレ、というのかな。価値観の相違というのか、結局「変われるのは自分しかいないから相手に合わせる」ことだけであれば、限界はありそうな...やっぱり相手も(一定レベルまでは)「変えて」行かなければならないのだと思う。このあたりについて書かれた本はないけど、えてして「マネジメント本」って、「相手」が一定のレベル、という前提があるんだよね。だから現実的ではなくなってしまう。
もちろん自分自身の「成長」はどんな場面でも必須、それは認識です。





2010/07/28

「熱い」!忘れていたものを見つけた。


『俺は、中小企業のおやじ』鈴木修
[18/121]BookOff
Amazon ★★★★
K-amazon ★★★

スズキ自動車の会長で今は社長に「復帰」されている。ご高齢でありながらこれほど意欲的な姿勢に驚かされましたね。本書は新刊当時にかなり話題になってました。タイトルの「中小企業」というところのインパクトでしょうかねー。確かに本書の最初から最後まで、「中小企業」という意識から発する「魂」のようなものがみなぎっている。個人的に車を選ぶとき(そうそう機会はないけど)、正直「スズキ」という選択肢は小さいが、軽自動車、或いは小型車でそれなりの「個性」を持ったメーカーだ、というイメージは強い。ヒット商品の「アルト」「ワゴンR」を軸に、GMとの提携のストーリーや、インドでの進出から現在までの話、非常に興味深く読んだ。特に「インド」については、いろいろな運命的なものやタイミングがあったにせよ、根底にあるのは「スズキという(日本国内では)トップクラスのメーカーでなくとも、No.1になれる国はある」という発想が原点にあったようだ。これは、この考え方は素敵だし、それを実行して、形にしている姿は美しい。詳しくは書かれていないけれども、当然にかなりの苦労はあったはず。今の「インドNo.1」として確固たる地位を築いたのはそれなりの「汗」があったのだろう。そしてそれを継続しているのは、さらにすばらしいことだと思う。
本書の主題は、このようなスズキ自動車のストーリーと、社長から会長、そして社長兼任に戻られた著者の考え方、生き方、生きざまを描いている。3兆円企業でありながら「中小企業」スピリッツを忘れずに、チャレンジする姿勢、泥臭く動き続けるスタイル...かっこいいですね。自分は正真正銘の「中小企業」にいながらも、その「魂」が抜けている瞬間があることに気づく。いけないね。80歳になられる著者だけど、まだまだ「中小企業」としての会社を先頭にたって引っ張っていかれている感じが伝わる。一方でご自身も書かれていたが、後継者については頭を悩ませているよう。ある意味「引き際」ということもあるだろうし。そんなアグレッシブな著者が書かれているのでなんとも言えないけれども、スズキの社員の像はまったく見えてこなかった。おそらく「後継者」足りえる人材もいらっしゃるのだろう。そして社長の言葉をハラに落としている方、そうではない方も。外からみたら、いわゆる「ワンマン」に見える会社、その内部はどうなんだろう。TOP率いる方向性に間違いなく進んでいるのでそのフローも確かなものなんだろうなあ。そっちも気になった。

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