2012/03/30

けして忘れません。


『忘れない。』西條剛央+ふんばろう東日本支援プロジェクトおたより班
[18/54]
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★★☆

震災から1年。まだまだその地に暮らす人は苦しんでいます。でも、必死で生きています。そんな気持ちが伝わってきました。あの出来事を忘れるはずはない、と自分では思っていますが、被災者の方々との温度差はやっぱりあるんだろうと思う。
本書は、「ふんばろう東日本支援プロジェクト」が、電化製品や生活用品といった支援をする中で、被災地以外の方から預かった「手紙」を被災者に渡して心のつながりを作ってもらおうとする「おたより班」の活動。実際に被災者の方と支援者の方(そもそも双方会ったこともない間柄)でやり取りされた手紙が掲載されている。

正直、苦しんでいる被災者の方の「手紙」は、支援者やプロジェクトに対するものであるから、それを本を自分のような立場の者が読むのもなあ、と多少の違和感はあった。でも、このプロジェクトの方は物資の支援だけではなくて、手紙という心のやり取りもされていることを「知らなかった」自分がいたわけで、自分では何もできていないけれども、こういう現状、こういう支援の仕方が現実に行われている、ということを知っただけでもプラスなんだ、と思うことにする。そしてそのプラスの気持ちが自分の中で行動に移すきっかけになる、する。

一番胸が熱くなったのは、被災地の子どもさんが支援者に対して送った手紙のコピー。そこには「被災地のこども」ではなく、「日本の元気なこども」がいた。苦しい経験をしてしまっているけれども、これから先、きっと優しい、痛みの分かる人になる子どもがいた。その手紙でも励まされたし、明るくなれる。

避難所、仮設住宅ではなく、なんとか一部残った自宅などで暮らす方々の苦労も、身にしみるものが。メディアで耳にしたことはあったが、当然だけど、テレビで流れてくるものを受け取るのと、実際の方の発言(手紙)によるものは、現実感が違う。国や行政の支援が、一人ひとりに対する支援がまさしく必要であり、それを実現できるように、被災地以外の我々ができること、これを実行していくべきだと思う。

実際には先行きへの不安で苦しんでいる方々ですが、手紙の文面からは前を向いて顔をあげて生きている力強い姿が垣間見れました。プロジェクトの方が、手紙を直接手渡しする、つまり被災地に何度も足を運んでいることが、新しい絆を作り上げたのだと思う。

苦しい中で生きている方々のことを思うと、被災していない自分たちの、瑣末な悩みなどちっぽけなものだと思った。これは本当にそう思ったのだ。あれほどの被害を受けても立ち直ろうと起き上がる人たちに負けられないよ。
忘れることはないです。みんなが元気になるまでは、けして忘れません。

【ことば】毎日がれきの山を見つめながら、生活しています。がれきと呼ばれても、本来は家や皆の財産であったものです。

被災地とそれ以外の地域の「温度差」を感じてしまいました。最初から「がれき」だったわけではない。ひとつひとつにそれぞれの家族の愛や思い出、それがちりばめられているものなのだ。「がれき処理」なんて、もう言えない。聞くこともできないよ。

~被災地からの手紙 被災地への手紙~ 忘れない。

2012/03/29

人間(ひと)としての成長がそこに。


『勉強ができなくても恥ずかしくない』橋本治③
[17/53]bk1
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

「勉強」「学校」との関わりについて疑問を持ちながら生きるケンタ君の成長を、就学前から社会人まで駆け足でたどります。周りの同級生たちとどうするまえばいいのか悩み抜いた小学校時代、友達の意味を見つけた中学時代、勉強・大学という課題に目をそむけつつもやがて理解できる高校時代、そして最後には、その意味、本当の意味を見つけ出すことが...

学校で最も大事なことは「勉強」でしょう。でも、勉強ができる、ってどういうことなのか。なぜ勉強をするのか、しなきゃいけないのか、それが理解できているケースは少ない。勉強のできる子=いい子、という図式は、本書のようにちょっと前の時代から今に至るまで、あたかも「事実」のように思われているけれども、本当にそうなのだろうか。
学校が勉強ができるようになるところ、だけであったらつまらない。子供たちは勉強する「意味」がわからないのは当たり前で、 「いい子」と思われたいという理由で勉強していることも多いのではないか。ケンタ君がそうであったように、何かのきっかけで、ある程度の「経験」をしてから気付くものであるのかもしれない。でも、それはケンタ君のように、勉強以外での経験をしたり、(ある程度の)「疑問」を心のどこかに持っていることが前提となるような気がする。

親の立場からすれば、「今は」理解できなくとも、勉強を強いることが必要なこともある。それは、大きくなってから苦労するから、ではなくて、大きくなったら自分で気付く力を備えさせるために、だ。ただ、「今は」わからないにしても、ケンタ君のおかあさんのように、「伝えない」というのもどうか。子供はできる範囲で考えているものだ。だから理解できなくとも、なんども「なぜ」という理由を説明sることも必要だと思う。いろいろな経験(プラスもマイナスもある)を重ねるうちに、その「できる範囲」は広がっていくし、自分で考えることもできるようになってくるはずだ。
親ならだれでも思っている「理由」を伝えることをしていかねば...と考えさせられた。

ケンタ君は、自分でも気付かないうちに成長しています。一番大きいのは「勇気を持ってやってみる」ことに抵抗がなくなったことでしょう。その「勇気」が「自信」につながり、また「勇気」が湧いてきます。それがすなわち「成長」であるのです。
そして、「意味のないこと」「無駄なこと」と思われるようなことが、どこかで何かに「つながる」感覚も得ることができました。これも「成長」に結びつく、よいサイクルのひとつとなっています。

もちろん、当時と現在では環境も違うし、この通りではないこともあるでしょうけれども、子どもを思う親の気持ち、子どもが成長していくのに必要なことはなんら変わらないはず。だから「伝えて」いこうと思います。心を込めて。

【ことば】「ぼくにそんなことができるのかな?」と...不安になりました。でも選ばれた以上、ちゃんとならやければいけません。...ケンタくんは「がんばろう」と決心したのです。

 ケンタ君は図書委員に選ばれました。友達が少なかったのですが、見ていてくれた人はいたんです。そこで前向きに取り組むことで、ケンタ君は変わっていくのです。子供の世界ではこんな体験を繰り返していくことで、目の前の景色が変わっていくのでしょう。考えてみれば、オトナも同じかもしれません。


勉強ができなくても恥ずかしくない (ちくま文庫)


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思索の森と空の群青
日々是修行

 

2012/03/28

痛快!子を持つ親は読む価値「大」。

人生に関する72章 (新潮文庫)
人生に関する72章 (新潮文庫)
  • 発売日: 2009/01/28

『人生に関する72章』藤原正彦③
[16/52]bk1
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★★☆

数学者である著者が、(著者自身も驚きをもって受け止めた)「人生相談」の連載をまとめたもの。読売新聞で連載されたいた。著者は数学の先生であるのだけれど、その著作の軽快さ、ズバっと両断する言い回しは、まさに「痛快」である。どの本にも共通して言えること。勝手な偏見で「数学者」というと「偏っている」イメージがあるが(おそらく著者自身もそんなイメージを受け入れている)、非常に「人間っぽい」側面が見えるのだ。
本書でも、「子どもに対する親」という点で、「小さい頃は有無を言わせず世の中のなんたるかを教え込む」姿勢が表れている。子供の「通常ではない」振る舞いについての質問に対しては、この姿勢をベースに、「そんな子に育てた親の責任」と、バッサリ切るのだ。質問者からすれば多少耳が痛いことかもしれないけれど、妙に納得できるところがある。
一方で、子どもがある程度の年齢になった時点で「おとな」として接する態度を主張している。「子離れ」ということ。相談する問題点の内容もこの二つ(親としての教育、子離れ)に集約されるのかもしれない。
年代別に分かれている構成で、10代からはじまって60代以上までの質問と回答。 性格が明るくできなくて友達が少ない、という悩みには「個性」を尊重し、年代が上がってくれば、親も子も「人間として」生きることを説く。年代別なので若い質問は無関係と思っていたが、自分の環境(40代の親であり、10代、そしてこれから20代になっていく子を持つ)を考えてみると、どれも真剣に読む価値がある。
回答は迷いなく「一刀両断」というものが多いが、本業の傍ら連載をしている著者の「真剣さ」が伝わってくる。けして「片手間」ではない思いが通じてくるのだ。当然に相談者は真剣。その真剣さに呼応する真剣さがある。だから、多少きつくても、心が通じた回答になっている。
それぞれの年代で、それぞれの悩みがある。作りものではなくて、まさに「生きている」人たちの悩みがここにある。新聞の人生相談に投げかければそれで解決する問題ばかりではないかもしれないけれど、そこにあるのは「効いてもらう」価値だったり、誰かに「言ってもらう」価値だったりする。これをきっかけに相談者の中で「何か」が変わり始める感じがするのだ。
人生いくつになっても「悩み」は尽きない。だからこそ人生であり、人間である。「自由を履き違えてはいけない」と著者は繰り返す。完全な自由ではない人生だからこそ、それを感じる瞬間がうれしいのかもしれない。

【ことば】地球上の思春期以降のほとんどの男性は、エッチな絵が好きか、大好きかのどちらかなのです。

夫がエッチな本を見ているのが許せない、という妻からの相談。人生相談の回答に、淡々とユーモアを混ぜる回答者。こういった「心がなごむ」言葉や、「そうはいっても人間ってこうなんだよ」という内容が随所にみられる。「専門家」でない分、実社会の私たちに非常に近い、距離が近い感じがするのだ。不謹慎かもしれないけれど、本書の相談と回答を読むと、面白いのはそこ。


人生に関する72章 (新潮文庫)


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jim1~8
よっし~の読書感想文?!


日本語は美しいなあ。


『語感トレーニング』中村明
[15/51]bk1
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★★☆

帯に紹介されている、
「快調」「好調」「順調」もっとも調子がいいのは?といったように、日本語のビミョーなニュアンス、語感が、どのようなイメージを醸し出し、どのような場面で使われるか、といった話が詰まっています。
日本語を使う自分にとって、非常に興味深い話が並びます。読み進めるにつれ、改めて「日本語って深いなあ」と思います。二人の会話があったとして(本とかで読む場合)、それだけでどちらが男で女なのかもわかるし、二人の力関係までわかってしまう。「謙譲語」という自分がへりくだる敬語、というのも日本語の美しさですね。
言葉の使い方次第で、その人の(潜在的な)気持ちもうかがいしることができる。「女」というか「女性」というか「彼女」というか、でも語感は変わってくる。
それは何かの原則や法則があるわけでもなさそうだ。仮にそれがあったとしても、言葉は時代とともに変化していくものだから、今の用法はその面影を残していないかもしれない。これを体得するには、いろいろな人が書いたもの、いろいろなジャンルの本を読む、いろいろな人の話を聞く、ということしかないのだろうと思う。その中で、「違和感」を持てるようになるかどうか。多分、(自分にもできていないので「多分」にしておく)古典とか名文を知ることも重要なことだろう。
著者はその道の大ベテランであるが、けして現代の言葉を否定していないところがいい。カタカナにとってかわられたことばや、若者ことばも一旦は受け入れている姿勢は好感を持てます。「言葉は生きている」というのを体感されているのだろう。年齢を重ねて、「美しい」言葉をたくさん知っている方がそのような度量を見せるのは「さすがプロ」と思う。
だから余計に、最後の最後「あとがき」に書かれていた文章が残念に感じる。
...語感要素として想定できる全体像をスケッチして、一般読者にわかりやすく解説したものである。
 う~ん、「今のことば」でいうと、「上から目線」を感じてしまうなあ。そりゃ専門家でもなんでもない「一般」ですけどね。
本書は日本語に関する「ハウツー」ではない。「日本語が好き」という感覚を少しでももっている人が読むと、同感できる場面が多く、読み物として面白い。

【ことば】その語の文体的なレベルや感触・イメージ・雰囲気といった語感、そこに連続する用法の微妙なニュアンスを知るヒントを与えるのが語感辞典...

諸々の環境にあった用法は、おそらく「語感辞典」が存在しても、口に出して耳にして使ってみてはじめて分かる、といったものだと思う。難しいんです、だからこそ、輝きを失わない日本語があるんですね。使いこなすのは困難ですが、そこにある「美しさ」を感じる感性は失わずにいたい。

語感トレーニング――日本語のセンスをみがく55題 (岩波新書)


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本のブログ ほん☆たす
道楽三昧

 

2012/03/24

一流のスポーツ選手は、一流の「人間力」を持っている

一流選手の親はどこが違うのか (新潮新書)
一流選手の親はどこが違うのか (新潮新書)
  • 発売日: 2011/11

『一流選手の親はどこが違うのか』杉山芙沙子
[14/50]bk1
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

長期にわたりトップランカーであり続けた杉山愛と、その母でありコーチである著者。長く続けて一流であり続けることって、ある意味正真正銘の「プロフェッショナル」であると思う。一時の成功よりもずっと難しいことだと思うのだ。そんな意味では、杉山愛というテニスプレーヤーはまさしく「プロ」である。
それを支えた著者の本であり、プロスポーツのことや杉山愛選手のことなどが書かれていると思ったが、さにあらず。 どちらかといえば「親」として子どもをどう育てるか、という視点に重心が置かれていて、子どもがプロスポーツ選手かどうか、または一流かどうか、というのは二の次の話題。
杉山選手の他、錦織選手、石川遼、宮里藍というトッププロ選手の「両親」にインタビューしているのも興味深い。プロ選手自身の話ではなく、親に焦点があたっているのだ。
プロスポーツアスリートとしての「テクニック」以前に、著者がこだわっているのは、その選手の「人間性」の高まりである。人間として成長すること、「人間力」をあげることにより、アスリートとしての技術もあがる、もっといえばスポーツは人間力をあげるためのツールである、という捉え方をしている。
この考え方は、「コロンブスの卵」的な発想であるが、こう考えるとしっくりくることが多いのだ。本書でも触れられていたが、杉山愛も石川遼、宮里藍も、そして松坂大輔や田中マー君も、インタビューを聞いていると「若いのにしっかりしている」という印象を受ける。当然サポートはあるだろうが、しっかりと自分の言葉で対応している感じがするのだ。そして自らが負けたり調子が悪い時のインタビューも、しっかり答えるし、優勝したり好調の時のそれも謙虚であるのだ。多くの目から注目されることによって出来上がった人格、と思っていたが、本書を読むとそれは幼少のころからの家庭環境やスポーツ環境によるものも大きいのだと感じさせられる。
親の大切な方針によってスポーツと「出会えた」ことで、培われる「人間力」が大きいと。それは親からの押し付けではなく、子どもが自ら選択したスポーツであり、そしてその「好きなこと」を「続けられる」環境であったことが、人間としての成長を促しているようだ。周辺の支えてくれる人たちへの配慮、技術的には必ずしも自分以上ではないかもしれない(が人間としては先輩である)コーチへの尊敬の念、そのスポーツに集中して取り組むことで、どこかで「突き抜ける」瞬間がやってくるのかもしれない。
コミュニケーションの力、判断力、決断力。スポーツを通じて育まれる力。もちろんスポーツを通じてでないと得られない能力ではないが、こういう考えの基で一流選手を、それも世界トップクラスに継続して存在し続ける選手を作り上げたことは大きな価値があると思う。スポーツに限らず、子育てという観点から見ても、参考にしたい点は少なくない。

【ことば】その子供=選手が、昨日より今日どれだけ上手くなったか、どれだけ人への思いやりができたかなどの、個人的な評価をすべきです。

選手間の比較、例えば「Aはできるのに君はなぜできないのか」という見方は絶対にしてはならない、その人の中でどれだけ成長しているか、という点に評価は集中させる、という。コーチ論であり、親子論でもあるね。自分がされるといい気持ちがしない「他者比較」を子どもに対してしてませんか?自分にも問うてみる。

 
一流選手の親はどこが違うのか (新潮新書)


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たれ流し書評なり
平成 萬朝報


自分を縛りつけない...でも現実は...

気にしない技術 (PHP新書)
気にしない技術 (PHP新書)
  • 発売日: 2011/10/15

『気にしない技術』香山リカ⑤
[13/49]bk1
Amazon ★★☆☆☆
K-amazon ★★★☆☆

香山さんの本って、ハマるものとそうではないものがある。精神科医、心理学教授であるけれども、表面的な「ポジティブシンキング」やらを押し付けるわけでもなく、気持ちが軽くなることがあるのだ。
著者自身が「先生」といえどもフツーの人だよ、的な表現が多くて、特別なことではない、方の力を抜いて、という気分にさせてくれるものがある。
本書は...残念なことに、著者の自分描写が軽「すぎる」のだね。ある程度、患者さん(か、それに近い悩みを感じている読者)との距離感がビミョーに近すぎず遠すぎず、っていうくらいがいいんだけど、本書におけるカヤマ先生は、近づきすぎなんです。なので、「あの先生が」というのが(他の著者だと多少なりとも雰囲気を醸し出しているのに)本書においては感じられない。だから説得力が...という悪循環に陥ってしまう。
臨床場面で何人も「そーゆー」人を診てきて、メディアにも多数でている著者だからそれ以外の場面でもそういう相談を受けることは少なくないと思われ、数々の臨床を経験されているのだから、もう少し「プロ」っぽい発言が欲しかったなあ。
内容的には、頑張りすぎず、我慢しすぎずに、「テキトウ」というバランスが大事、自己啓発本に書かれているようなことばかりが正解ではないよ、という至極参考になる内容なんですね。だからこそ、先生の言葉が欲しかったんだよね。
そういう状況に陥ってしまったら、本書のタイトルのように「気にしない」ということも一つのスタイルだと思う。だけど、それが(わかっているけれども)できない人が、本当に悩んでいる人、なんだよね、きっと。そんな人たちの力になるのは、プロである先生の言葉なんです。それに期待しているんです。
多分、誰に対してのメッセージか、よくわからないのが本書の「消化不良」の一因ではないかと。本当に「悩んでいる人」に対して、でもないし、その周りにいる人に対して、でもない。予備軍に対して、でもない。そこが「バランス」がよくないように思えちゃうんだよね。
むしろ「ポジティブシンキング」を絶賛した内容の本を読んで、「そうはいっても...」と思いつつも「そうかも...」とちょっとだけ思えちゃうモノの方がよいかも。「気にしない」というのテクニックは身につけたいけれども、その取得は「次」にしようと思う。

【ことば】「大人の条件」...経済的な自立よりも、こうした「心の柔軟さ」「懐の深さ」「義理と人情」といった内面の要素のほうが重要だと思います。

ごもっとも!です。ただし、ある程度の「経済的な自立」は前提となると思う。それが土台にあってはじめて、「余裕」が出てくるのが、現実なんだよね、残念ですが。「義理と人情」だけでは食べていけない現実があるのだ。その「土台」ができていれば、素晴らしい「条件」だと思います。


気にしない技術 (PHP新書)


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いーてぃーでなんぼ。
賞味期限終了




2012/03/22

必要なのは、この「やってみる」活力だ!

全力でスローボールを投げる
全力でスローボールを投げる
  • 発売日: 2010/05

『全力でスローボールを投げる』北尾トロ②
[12/48]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★★☆

2008年に週刊文春で連載されていたエッセイの「総集編」なので、多少ネタ的に古いところはあるが、この人の文才だろうか、面白い。最後まで面白かった。ヨワイ50歳のオヤジである(失礼)。このオヤジが、ネタのためにいろいろな流行りものを「体験」するのであった。
ネットカフェで夜明かし、タカラヅカ観劇、ブラジャー装着(男がブラジャーをする「ブラ男」なる流行があった?知らんけど)、その他諸々...自分で経験しなければ批評できない、という信念のもと、どんなに困難なものでも「体験」してみるバイタリティ。
プロの書き手である、という点はあるが、オヤジ、すげーな!って思います。確かに、自分が経験もせずに批判する輩ほど憎々しいものはなく、彼らの言うことなんて誰が聞くかよ!って思いはある。それがネタ作りであるにしても、気の進まないものもあるだろうに、チャレンジ精神は見習うべき点が多い。
マラソンに関しては、酒の席の話から現実に走ることになったという。素人の挑戦だから完全ではないけれども、フルマラソンまで挑戦しちゃうんだよ。単に「ネタ作り」というのを越えています。
50代にはまだ時間があるけれども、体力の低下は(好んでもないのに)実感しております、毎日。そんな自分にとって、「先輩」がこれだけ「チャレンジ」しているのは刺激になりますね。
ところどころ、「家族」ネタや、「同級生・友人」ネタも登場し、「いい人」的なコラムもあるんだけれど、個人的には無茶なチャレンジで玉砕したネタの方が面白い。ただ単に玉砕するだけではなく、そこから何かを感じ取れる「感性」を持っているのが、プロフェッショナルだなあ、と感じますね。
最も面白かったのは、素人を装って「エッセイ教室」に通う話。プロだからこそ感じる「教室」の空気があったり、そんな空気の教室を受け入れたり...そう、すべてのチャレンジに共通しているのは、その挑戦が玉砕に終わろうと、すべてをポジティブに受け入れる、その姿勢です。だからこそ、テンポよくいい気分で読みとおせるんですね。
そんな気持ちで挑戦を続けている50代は、かっこいいです。そしてネタを越えてマフルマラソンに挑戦し続けている(今も?)姿も、憧れますね。こういう50代もいいなあ。50代って「終盤」というイメージがあったけれども、まだまだ十分に「現役」でいける、って気持ちにさせてもらいました。
こんな元気な50代を迎えるか、「老人」のような時間になるのか。それは40代の「今」が大事、なんだろうなあ。

【ことば】おっさんがあえて青春を口にする以上はそれにふさわしい内容、必然性というんですか、それが欲しい。

「青春」という言葉が重い。そんな年代になった。「青春時代」よりは著者に年齢が近い自分には、この感覚が、分かる。特に甘酸っぱい思い出は浮かんでこないんだけどね。この言葉に関しては、10代、20代の頃と感覚がまるで違うんだよなあ。ちなみに、この言葉は「青春18きっぷ」を買う時の著者の心構えでした。

全力でスローボールを投げる


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面白い本が読みたくて
chiapetのself-pep talk

2012/03/21

短編の物足りなさが...

架空の球を追う
架空の球を追う
  • 発売日: 2009/01

『架空の球を追う』森絵都③
[11/47]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

短編なんて書いているのを知りませんでした、森絵都さんの作品です。日常の、ごく普通の日常の一部を切り取って、それが小説になっている...といった作りで、「短編」という形式と相まって、どうも消化不良は否めず。

女性目線なので(当たり前だけど)、余計にそう感じるのかもしれません。あー、どこにでもいるよなあ、あるよなあ、という点は「共感」できるんだけれども、同性による「共感」とは違い、盛り上がりのない、というイメージに捉えてしまいがちに...もちろん、森絵都さんのエッセンスは、その文章や言葉の選び方にも表れていて、品がよく、心地よい読み応えなんですけれど、後に残らない、というか...これが長編ならばまた違った感想になったんだろうと思います。

友人、家族、夫婦、同僚。イギリス、ドバイ、銀座。出てくる人物、その置かれた環境、設定された場面は各編によって異なるけれども、「日常」を描いて、その「特に変わったことのない日々」の中から小説のテーマに昇華させる手法は見事です。誰でも持っているちょっとした好奇心、気ごころ知れた人たちの中にいながらも、ちょっと引きぎみに見る目線。特別な「変わり者」が登場するわけではない分「どこにでもある物語」ですが、文字にするとこうなるんだあ、という驚きも。

本書にでてくる人たちは、「日常」をフツーに過ごしている。人生を考える、なんて重いこともなく、過ぎゆく時間をありのまま過ごしている。これって実は大切なこと。立ち止まって躊躇する「日常」ほどつまらないものはないしね。実はこういう「日常」「人生」が、気がついてみれば「幸せ」につながっていくのかもしれないなあ、って深読みしてみた。
 
おそらく著者と同年代の女性、或いは既に著者の作品を数冊読んでいるファンには、受け入れやすい構成なのだと思う。「これまでの森絵都と一味ちがうねっ」ということで。でも男性であったり、ビギナーであったり(自分のことだ)すると、ちょっと壁が高い。ま、こういう作品も書いているんですねー、くらいで受け流しましょう。次は長編を読みたいけどね。

表題作は一番目に掲載されているけれども、かなり短い。想像通り野球の話だが、自分には「オチ」がわからなかった。「ドバイ@建設中」「二人姉妹」あたりがいいかもなあ。「オチ」がわかりやすいし、温かいので。

【ことば】人生ってさあ...思いもよらないようなことが起こってもいいんだよな。

自分の夢を抱いて、何があってもそれを曲げない人物に出会った人が語る。人生って...真剣に考えるようになるのは、「折り返し地点」を過ぎたころから。もう戻れない時間と、これからの時間が同じくらいになった頃から、本当の意味を考えるようになる。

架空の球を追う


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図書館で本を借りよう~小説・物語~
ちょっとお話

2012/03/19

かなりスッキルします!読むだけでも変われる。


『いやな気分の整理学』岡野守也
[10/46]Library
Amazon ★★★★☆

K-amazon ★★★★★

世の中に心理学、自己啓発本、数あれど、本書の「論理療法」に敵うモノはないんじゃ?って思えるほどです。著者も言っていますが、「論理療法」ってカタクルしい、モノモノしいイメージを想起させる和訳ですけれど、内容は至ってシンプル。こんな「解決法」があるんだー、って素直に沁み込む感じです。

単純化して言うと、「嫌な出来事」が起こって、「嫌な感情」が内側で湧き上がる途中に、「考え方」というステップが存在する、というもの。そのステップを根こそぎ変えるようにすれば、感情をコントロールできるかもしれない、というものです。
ポジティブシンキングとはちょっと違う。間に入る「考え方」が、論理的ですか?役に立ちますか?っていう問いを続ける。
人間は完全なものではないのに、「完全」だと考えてしまってませんか?
否定されたのは、自分の人格ですか?
恨みを持って生きていくことで、何かが変わりますか?

本書でも繰り返し出てきたフレーズですが、刷り込まれた感じがあります。もちろん、一度根付いてしまった、ネガティブな考え方、というのは払しょくするのは簡単ではありません。が、努力次第で変えることができる、というのは、前向きになれる重要な要素となり得るのですね。

そして何より「現実的」だと思ったのが、この論理療法を試みて成功したかのように思えても、「揺り戻し」があるかもしれない、という記述です。世の中が、人間が完全ではないのだから「論理的に考えると」また同様のスパイラルに陥る可能性もあるわけです。この方法が「完全」ではない、ということ。
そんな時は、また繰り返せばよい、という、至ってシンプルな説明。シンプルなんですが、これって真実ではないかなあって思います。もし「再発」してしまったら...って考えるよりも、そうなったらもう一回、って考えられるのは、これもかなりのプラス要素なんですね。

気持ちの問題は、本人にしか分からない難しい事項だと思いますが、その感情を「健康な否定的感情」と「不健康な否定的感情」に分ける、というのも実践する価値があることだと感じます。「いやな気分」を区別する、本人の気持ちによって整理する、ということ。文字にすると難しいですが、「心配」する感情から次の行動を考えるのと、「不安」で動けなくなってしまう違い、そんな区分。

この手法は「セルフケア」の方法として活用されていいですね。本書を手元に置いておくだけでも違ってきますが、すぐに自分の中で実践できる方法です。立ち止まって「考える」ことを実践すればよいのだから。


【ことば】...考え方を整理して気分を整理する、すっきるさせる、「気分の整理学」として、ごく一般の方に使っていただける...

考えてみればそうなんです。「病気」を治すという手法、それだけに特化しているわけではない。何か煮詰ったとき、迷ったとき、そんなときに使える「考え方」なんですね。「論理療法」という名称が邪魔していますが、シンプルで実践的な「考え方の整理法」であります。

 いやな気分の整理学―論理療法のすすめ (生活人新書)


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本読みサラリーマン
COXの読書ノート


自分で「考えること」が重要。

非属の才能 (光文社新書)
非属の才能 (光文社新書)
  • 発売日: 2007/12/13

『非属の才能』山田玲司②
[9/45]Library
Amazon ★★★☆☆
K-amazon ★★★☆☆

「空気が読めない」をはじめとする、「みんなと一緒が正しい」という流れ。マスメディアによる情報操作、大衆迎合、そんな世の中で、「多勢」に属さない生き方は正しいのかどうか。
著者は言う、みんなと同じことをする、同じものを見ることで、自分で考えることをしなくなる。「非属」で結構、それができる人間はそれだけ「自分で考える」力を持っていることだから...

みんなと同じ、が危険であり、お笑い番組で「笑い声」を流して、「ここ、わらうとこ」を示すのは、典型的な「自分で考えない」世界なのだ。実は多くの人が、この流れに対しては違和感を感じているのではないかと思う。違和感を感じつつも、結局迎合する自分...「楽」なんでよね、考えないで過ごせるから。

おそらくは、こういう考え=自分で考えることが重要=を持つ人は少なくない。その類の本も多く見かける。わかっちゃいるけれど、できない自分、これが問題なのかもしれない。「非属」すなわち孤独であるという恐怖。非属であることを生まれてから経験していないから、なのかもしれません。

そういう世の中で、大きく流れを変えることを実現しているのは、「変わり者」と呼ばれる非属の人たちである。 長嶋さん、ビートたけし...政治家が魅力的でないのは(選挙の時の言動とは別に)いつのまにか埋もれてしまうタイプばかりだから、かもしれません。

ただ、こういう非属の人たちが輝いているのは、見えないところで努力した結果であろうと思われる。また、自分の信念を、周りの人と合おうが合うまいが、徹底的に貫いた結果であろうと。すなわち、「非属」であるだけではまだ不十分で、そこから「何があっても貫きとおす」意思と努力を厭わない姿勢、信じ続けることがポイントではないだろうか。
若干、この「貫きとおす信念、努力」というのが、本書では感じられず、非属であることが大事、というニュアンスを感じてしまったが、おそらく本質はそういうことだろう。

「笑いどころサイン」で笑っている人も、実は考えているんだよね、余計なお世話だって。自分で考えることはできる人たちなんだ。それを行動に表すかどうか、というのが「違い」になってくるんだろう。

けれど、「非属」を自認して、それで苦労している人にとっては、前向きに考えることができるようになる、受け入れられる内容である。著者は「ひきこもり」を認めていて(自分で考え、「行動」している、という点で)彼らが暴力的になるのは、それを理解しない周りが原因である、と説く。これは極端な例えであり、そういう彼らでも迎合することなく、社会と調和できる、という意味合いで紹介している、と認識する。

先が見えない不安が世にあふれ、勝ち組負け組なる言葉がいまだに生きている環境。だけど、自分の信念を持って、周りがどうあろうとそれを貫く生き方も、少しずつ評価されてきているのは感じるんだ。どち

らを選択するか、バランスを取るか、それを「自分で考える」必要がありますね。

【ことば】 「耳はお財布耳にしなさい」つまり、人の話は一度なかに入れておいて、必要なときに出せばいいということだ。

非属であろうとなかろうと、人の話を聞く、受け入れる、というのは生きていく糧である。著者が続けて言うように、「否定から会話に入る人間が多くてうんざりする」のは事実。気持ちよくないよね。自分がすべて?自分が基準ですか?人の話を聞く「努力」は、ホントに糧になるのだから、気持ちよく、聞くスタンスを取りたい。

非属の才能 (光文社新書)


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賢者の図書館
スズセン


2012/03/17

理屈ではない人間の行動。自分のことを考えれば、わかるよね。


『ビジネスマンのための「行動観察」入門』松波晴人
[8/44]bk1
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★★☆ 

「迷ったら現場へ行け」「行き詰ったらお客様に聞け」わりと耳にするフレーズである。企業が誰に対してモノやサービスを売っているのか、それに見合う対価をうけているのか、を考えたら、「次の手」を考える際に、一番しらなければならないのは、あきらかに「お客様」であるのだ。
だから、企業はアンケートを実施する。そのアンケート結果の分析、解析をして、お客様を「知る」という狙いで。けれど、自分お経験則からしても、これはなかなか困難である、といえる。アンケートに答えていただく環境、たとえばインセンティブの有無(回答者には○○をプレゼント!)とか、アンケート方法(記述式/自由回答など)とか、諸々の条件、フィルター、環境を考慮すると、出てきた「答え」の有用性に疑問がついたりして、「じゃあなんでアンケートやったん?」ってことにもなりかねない。そんなもやもやした経験をしたことがある人は少なくないんじゃないか。
本書で紹介されている「人間観察」はこのようなアンケートの類とは異なる。人の行動を人間工学、心理学、表情分析などの知見を通じて観察・分析することで、問題解決に役立てようとする手法であり、日本でのその分野の第一人者である著者が、事例をふんだんに使って紹介してくれる内容が本書である。
人間の行動を追っかける、しかもかなり深部にわたって。その一見不可解と思われる行動についても、著者の知見による心理学的なアプローチで、その因果関係を探る。そして行動の本質、本人も気づいていない行動の「理由」を導き出す。
行動観察はあくまでも「仮説」を生み出すためのフィールドワークであり、そこで得られた仮設を今度はアンケート等を利用して確認していくステージに入っていく。つまり我々が「お客さまを知る」ためにやろうとするアンケートは、実は第2ステージであり、前段階のステップを飛ばしてしまっているのかもしれない。前のステージによる仮説がないので、アタマの中だけで考えた仮説をもとに進めることになる。それが仮説として成り立っている場合もあれば、不完全な場合も当然にあるわけだ。
言われれば、「お客様の行動、考え、本音」といったところを探るマーケティングは当然の企業活動であるし、既にやっているという企業もあるだろう。けれど、本書に紹介されたような「人間工学、心理学」ベースに基づいた「行動観察」というアプローチは、結構斬新な切り口だと思う。そこまで考えて実行しているケースはそうそうないと思う。
本書は事例中心なので、読み物としても面白いし、著者のフィールドである「行動観察」については関心を持ったのも事実で、惹かれるものは多い。すぐに直接的に役立つかどうかは不明だが、その「考え方」=行動観察は科学である、という点は面白い。科学であるかどうかは、実はここ最近、考えていたこと。ヒントを得た思いだ。

【ことば】行動観察で様々な気付きを得るためには、自分の価値観をいったん横において、フィールドを観察することが求められる...行動観察においては、人間に関する知見が重要な意味を持つ。

どうやったら「行動観察」ができるようになるか、その条件を2つあげている。前者に関していえば、まだ完全ではないが、なんとなく「こういうことかな」って感じる瞬間がある。ただ、後者に関しては、今の自分では心もとない。もっと「勉強」せなば、なるまいね 



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いまんとこの最適解
Insivible Circus


日本を支える本当の人たちは...

世界一のモノを生み出す日本の会社
世界一のモノを生み出す日本の会社
  • 発売日: 2012/02

『世界一のモノを生み出す日本会社』
[7/43]
Amazon
K-amazon ★★★★☆

日本が誇る、「世界的な技術」を持つ会社を紹介。どれも小さな、しかし熱い、素晴らしい魅力を持った会社である。
機械部品や製造機械、プロ用の器具、等々、普段は何気なく目にしているものや、日常生活では目にしない(ただし、その日常生活をよくするための)機械などが、世界シェア1位だったり、世界で唯一だったりする。そしてそれを実現している会社は、大手ではないのだ。ほとんどが「町の工場」といった風情である(こうば、と読んだ方が雰囲気がでそうだ)。多くの会社が結構創業が古い、つまり長くその事業を継続してきている、ということだ。
そこには、創業の苦しさや、継続の苦しさ、大手や中堅とのシェア争いもあったのかもしれない。そんな中で、ユニークな発想のもと、ユニークな「生き残り」策を実行してきた。他にはない、或いは他社にはできないことを実現した自信、プライドが彼らをまた輝かせている。
掲載されている40社あまりの会社は、その世界に君臨する製品やサービスを本書で紹介している。工場の写真、外観、技術者の働く姿、経営者の顔、どれもが「プロ」を感じる写真である。「職人」と言った方がしっくりくるかもしれない。
21世紀の世の中に、「町工場」がこれだけ光っているとは思わなかった。自分の生きる環境とはまったく異なる世界であるので、技術的なことや、どれだけすごいことか、ってことが実はよくわかっていないのかもしれないが、とにかく、そこにいる「ヒト」の姿がダイレクトに伝わってくるのが印象強い。埃の中で誇りを持って仕事にあたっている。そんな姿に「美学」さえ感じるくらいに。
日本が元気を失っている、中国やアジア諸国の元気さに押されている、経済不安は高まり、政治不安も外交の不安も改善する予感すらなく...なかなか打破できない暗闇の中にいるような現状。確かに数字的なものや経済指標などで見ると、先が見えない苦しさに包まれているのかもしれない。しかし、視点を変えてみれば、世界をフィールドに堂々と先頭にたって、日々前進している「町工場」がこれだけ日本に存在するのだ。これは胸をはっていいこと。日本だから日本人だから実現できた、というプライドを持てることだ。「元気」は、そんな小さな場所から広げていけばいい。「上」から与えられるものではないから、ね。

【ことば】机の前で唸っていれば、いい発想が浮かぶというものではない...日々の生活のなかでヒントを得て、ふと思いつくことが多い。ただ、それはいつどんなときも頭の片隅に研究課題をとどめておくから。

世界に発信する「アイデア」を生み出すのは、そんな「研究のことを頭においている」ということから。アンテナを張っておく、というやつですが、そもそも中核に「アイデアを生み出したい」という想いがなければアンテナで受信しても、受信したことにすら気づかないケースもありうる。世界に、というのは大きすぎるけれど、ユニークなアイデアは生み出すような土壌を作りたい。そのためには、やはり「想い」だ。

世界一のモノを生み出す日本の会社

2012/03/13

格差を生む社会構造は理解するが...


『希望格差社会』山田昌弘
[6/42]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

流行語にもなった「格差社会」という言葉を生んだ本です。今や「格差社会」というその言葉が独り歩きしてしまっていますが、著者が主張するのは、「希望」格差であって、経済的な格差という1点ではありません。
戦後の高度成長からバブル期直前まで、いろいろな背景はあったにせよ、「将来こうなれるかもしれない」という希望は描けた。今現在の社会の方がその時期よりも「豊か」になっているのは事実だが、ひとつ失っているものが「希望」である、ということだ。

賛否両論あれど、学歴社会や年功序列という「制度」のもと、ある一定の「ルート」「コース」が目に見えた社会であったが、いまはその様相が異なる。アイデア、知的な差別化が個人的な成功のベースになる社会であるが、「安定」はないし、将来どうなるか、っていうのもまったく見えない社会だ。

そんな環境の中で若者に対して「夢がない」というのは、はたしてどうなんでしょう?という、現代若者論にもつながっているんだけど、 ことこの状況に関しては、若者だけの問題ではない。かつての構造で育った中高年も、その経験が武器にならない社会である。IT系の発展、労働力の国際的な流動化。久しく言われてきたことが、まさに今現実になっている。

...と肌感覚で分かっていること、それを「理論」で説明してもらっている感じ。以前とは社会構造が違う、家庭も教育も、そのあり方が異なってきている、というのは分かるんだけど...分かっている分、身にしみている分、ものすごく「重い」んですね。敢えて苦しい環境を上書きされた感じすらします。

望むべくは、「じゃあ、どすんの」っていう点。本書を手にとった人の多くはそれを期待していたはず(社会学者の先生たちは違うだろうけれど) 。その点が「薄い」んですね。読後はかなりネガティブになってしまいますが、それでも前を向かねばならないんですよね、私たちは。

自分の身は自分で守る。だって今置かれた環境はこうだから、ていう「現状」を受け入れることももちろん必要だし、そこがスタート地点にはなります。けれど、その前提は半分くらいでよかったかも。

読み終わったあと、「副題」を見ましたが、ちょっと扇情的すぎ、な気もしますね、
 
希望を持ちましょう。開き直りではなくて、前に歩いて行く原動力は、誰にでもあるはずだから。

【ことば】 つらいことに出会ったとき、それに耐え、更なる努力をして乗り越えることができるのは、それが報われる見通し、つまり希望があるからである。

その「希望」が失われつつあるのが(あるいは2極化して「選べない」層が存在することが)現在の社会環境である、という。まったくその通りだと思うが、希望は自ら見出さない限り、向こうからやってくるものではないはず。なんでもいい。それこそ、人間の数だけ希望がある。


希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く (ちくま文庫)


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  お茶をどうぞ
うぉっちング!!!

2012/03/11

素直に笑っちゃえばいいのだ。


『もっと声に出して笑える日本語』立川談四楼
[5/41]Library
Amazon ★★★★★
k-amazon ★★★★☆

噺家さんなんで、特に言葉には敏感なようで、飲み屋を始め街中でたくさんのネタを仕入れてくれてます。その「仕入」のアウトプットが本書。
笑えます。言葉を扱うプロでもあるから、読みやすい。肩肘張らずに気楽に読める分、クスリ、と軽く笑える場面がたくさん出現します。
そしてオヤジギャグ、受け狙いじゃないかとちょっと疑うようなネタ、このあたりで笑わせてくれながら、ちょっとした言葉使いの由来とか、そんな教養も教えてくれてますよ。気づかずにいつのまにか身についているかも、です。実はそのような身につけ方が最も有効なんですよね。机に向かって暗記するよりも、やっぱり「笑いながら」覚えちゃうのが一番忘れにくい。

パソコンの誤変換、お年寄りの珍解答、アナウンサーの言い間違いなど、痛快でありつつも、実はこれらって「正解」がわかっていないと誤まった変換、解答を笑えないんだなあ、と気づいたんだね。落語家さんだから、言葉に対する感性が普通の人よりも研ぎ澄まされている分、味のある間違い、笑い飛ばせる間違い、こういうのが「向こうから飛び込んでくる」感じなんだろうね、常にアンテナはってる状態にあるから。

こんな箇所がありました。

□を埋めなさい。人を見下すことを何というか。
 鼻で□□□。

小学校の国語の問題。実に3割が、□□□に、「かくね」と入れたそうだ。若者風のアクセントなしのフラットな発音で「鼻、でかくね」。見下してますよね。正解ですよ、これ。
こういうのを目くじら立てるのではなく、「笑える」に分類する著者の感性、好きですねー。

もう一つ試験ネタで、
「あたかも」という言葉を使って文章を作りなさい。日本語を学んでいる中国人の解答です。
 「冷蔵庫に牛乳があたかも」
いいね!ボタンおしちゃいますね。

実は30年以上前の小学校時代の思い出の一つがこの類なんです、自分にとって。鼻血が出るほど笑った記憶があって。

日本語、言葉に対する感性が鋭いと、なんだか得をするような気もしてきました。本を読むのはその一環ですね。
本書を読む時間、楽しい時間でした。

【ことば】役人はあまり仕事をしてはいけないんだそうです。出ず引っ込まず、目立たず、「仕事をしているフリ」が一番なんだそうで...

言葉の面白さを追求する著者も、官僚、政治家に対してはちょっと厳しい。そこがまたスッとする、痛快な気分にさせてくるんだね。アナウンサーの軽微な間違いとか、(笑える、ではないが)イチローの言葉が好き、なんてところは著者の庶民性、人間性が垣間見えて、なんだか距離が近い感じ。

もっと声に出して笑える日本語 (光文社知恵の森文庫)


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『感動の仕入れ!』日記
かさぶた書店


2012/03/10

リアルな怖さとやるせない未来。

番犬は庭を守る
番犬は庭を守る
  • 発売日: 2012/01/27

『番犬は庭を守る』岩井俊二
[4/40]
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

原発事故の影響で、人類は子孫を残すという生物本来の機能を果たしきれなくなる。そんな中で生殖可能な人間は大金持ちになり、世の中は差別と搾取が横行する愚かな世界へと突き進む。

未来の話である。すべては20世紀のエネルギー構想=原子力発電が起因となり、その管理機能の不足から起きた事故による人類への影響。変化。それによって「人間が生きる」ということが何であるのか、本質すら変化してしまうような事態へ。

怖いですよ。読んでいて怖くなります。「原発事故が過去に起こった」時代が設定されているんだけど、もはや「今」だってリアルにおんなじ世界だし、これから先もそう、ってことでしょ。ヒトの命の持つ価値が変わってしまっていることへの怖れ、そしてそういう世界観に「慣れ」てしまっているその時代の住人の思想への怖れである。
小説の世界、未来の想像にすぎないが、妙にリアルなんだね。

マクロで考えると、子どもが生まれないってことは人口が減るっていうことで、そんな「将来的に人口が増える可能性が極めて低い」社会に活気が生まれるわけがなく、その衰退、消滅は火を見るより明らか。そんな世界は本当に恐ろしい。
その原因が、原発であり、それは人類の発展に活かすためのエネルギー政策であるというところが、矛盾、ジレンマ、リスク、違和感を感じるところであり...

でも、こんなリスクを背負ってまでも、目の前のエネルギーが必要なのか、って考えてしまう。
「人類の未来」に思いを馳せるほどの人物ではないけれども、怖いんですよ、原発っていうリスクは。それが現実になっているわけだからね。

小説でありながら、直接的に原発のことに触れているわけではないけれども、全編を通じて伝わってきたのは、そういった「恐怖」でした。消滅へ向かっている社会で未来を描くことは...不可能でしょう。その時に何を考えるんだろうか。

いや、それを考えるよりも、社会がそうならないことを考えなければならない。
暗い闇を描くこの小説は、何かを思い起こさせる。かなり印象に残る230ページ。

【ことば】 長老が言う。考えてもみろ。人間が死ぬ確率は何パーセントだい?...百パーセントさ。

危険な施設で働く労働者。1週間に1人が命を落とす環境。そんな中でのこのセリフは究極に後ろ向きである。「だから気にするな」ということ。同じセリフでも「だから生を充実させよう」と続くのとは正反対。社会の在り方によって、同じことでも正反対になるケースが、ある。

番犬は庭を守る


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究極映像研究所
ぬるいし。

 

2012/03/08

生きる、って熱くなること。


『ワンピースの言葉が教えてくれること』方喰正彰
[3/39]
Amazon ★★★★★
K-amazon ★★★☆☆

男女問わず、子どもから経営者まで、幅広い読者を魅了している「ONE PIECE」。今や日本国内のみならず、世界30カ国以上で読まれており...すみません、ほとんど知らないんです。自分のように「本体を知らない」人間でも読めるのかどうか。

読めます。その言葉を発したキャラクターが誰なのか、どんな背景があるのかはわかりませんが、すんなりと「生きるヒント」になりそうな言葉が多数。著者の解説も、その言葉から発展して、「人生訓」にまで及ぶような、「ありがたい」説明です。

夢をかなえる
仲間をつくる
強くなる
苦しいときを乗り越える
自分らしく生きる

...どうでしょう。内容の「大分類」をあげてみて分かるように、「マンガの名セリフ集」ではありません。言葉の持つ大切さをしみじみ感じて、その言葉によってヒントを得て、人生に活かせるような、そんな言葉が並ぶ。

どういうストーリーか分からないのがもどかしいが、主人公たちは、ひとつの目標、夢に向かって、それこそ生死をかけた冒険を続けているのでしょう。真剣に一所懸命「生きてる」熱さが伝わってくるようです。自分の置かれた環境や、経験したことなどと照らし合わせて、誰もがヒントを得られるような構成です。

ただ...やっぱり「本体」を知っていると、面白さが全然違うんだろうなあ、っていう感覚はありました。その言葉の発言者の「今」を知れば、言葉の重みは全く変わってくるんだろうな、と。残念ながら、「じゃあ本編を読んでみよう」という気にはなかなかなれない自分ですが、ここに紹介されている「言葉」はそれ単独で心に刻みます。

【ことば】...「自分を信じて疑わないこと」。それが私たちが身につけるべき「強さ」ではないでしょうか。

何が起こっても、どんな状況でも、新しい道を切り拓いていく。この世に生を受けたからには、当たり前だけど、間違ったことをしたくない。何が「正しい」のかは分からないけれども、「正しい」と思えることに向かって歩いていきたい。それが自分の人生の価値になるはずだから。

ワンピースの言葉が教えてくれること (ルフィと仲間たちに学ぶ「生き方」の教科書)


 

2012/03/06

完全にトリコとなりました...

風が強く吹いている
風が強く吹いている
  • 発売日: 2006/09/21

『風が強く吹いている』三浦しをん⑤
[2/38]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★★★

著者の直木賞受賞後の第一作。走ることを愛し、走ることが生きることであるハイジと走の二人が出会い、素人集団を連れて、箱根駅伝を目指す。補欠のいない10人で、陸上未経験者も多数いて...
かなり無理のある設定ですが、時々笑えちゃう軽いノリと、一方では練習から予選会、本戦に進むち密な過程の中で、彼ら寛政大の駅伝チームが見せる成長。「無理がある」ことをすっかり忘れてしまうくらい、500ページに及ぶ長編に引き込まれてしまいます。
話題性のある箱根駅伝というテーマですが、著者の取材の精密さが表れていて、素人の知らない部分まで細部にわたり細かく描写されます。が、メインはやはりこのチーム。素人集団が「箱根」という思ってもみなかった「夢」を実現させていく過程で、「走る」ことに対しての考えや、駅伝という競技でもたらされるチームワークを垣間見せてくれます。
「一応」高校時代から「走り」の才能をあらわして、でも挫折を経験した走(かける)が主人公であるのですが、駅伝の各区間を走るチームメンバー全員が「主役」であることは間違いありません。それぞれの個性がでているし、それを采配するまとめ役のハイジのリーダーシップも素晴らしい。走の結果から特筆されていいはずが、みごとに「全員が主役」という印象を持ったまま読み終えることができました。
それでなくとも感動を呼ぶ駅伝。現実の世界でも、そこには数々のドラマがあるはずで、その長いドラマの一部を我々観衆は切り取ってみているにすぎない。なんにせよ、ひとつのことに打ち込む姿、チームとして成長していく姿、タスキに込められた思い、個人競技でありながら団体競技である駅伝のドラマ、感動のポイントが凝縮された物語です。
残りページ数の厚さから、本戦に出られたのか、とか、だいたい想像ついちゃうところはあるんですが、特に後半から終盤は、読みながら必死で応援している自分がいました。最後の結果のパートは、ドキドキしましたねー。小説でここまで熱くなれたのも久しぶりです。
寛政大学駅伝チームは、チームワークを学び、同じ夢を追いかける仲間を思いやる気持ちを持てるようになりました。ひとつの夢に向かって、汗を流すチームって、美しいです。その中に能力のある者、無い者がいても、いや色々なタイプが存在するからこそ、チーム愛が生まれるのでしょう。精鋭だけを贅沢に選んで勝っても、得られない喜びがそこにあるような気がします。
彼ら大学生は「若い」から、ひとつのことに夢中になれたのだろうか?いや、若くなくとも、ひとつのことに、ひとつの夢に向かってがむしゃらになることはできるはず。そんなものを見つけよう。目の前にきているかもしれない。それを見つけるんだ。
 ライバルの他校に「嫌われ役」がいたり、ちょっとだけ恋愛モノが混ざっていたり、まったく「長さ」を感じさせない500ページでした。

【ことば】いままでなかった。走る喜び。苦しみを凌駕してなお、胸に燃える理由。再び会うために。会って、ともに走ったことを喜びあうために。明日も戦う。全力をもって。

孤独なランナー人生を送るはめになっていた主人公が、「仲間」を得て違う夢を持つようになった。早くはしることだけが目的ではない。誰かを喜びをわかちあうことを目指して走る。自分のために、誰かのために、走る。「強く」なっていく姿が美しい。

風が強く吹いている


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mixvox reading
まねき猫の読書日記

2012/03/02

自分には史実よりも物語がベター

真田三代 (PHP新書)
真田三代 (PHP新書)
  • 発売日: 2011/10/15

『真田三代』平山優
[1/37]LIbrary
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★☆☆☆

これまで読んできた本のなかから「ベストをあげよ」と言われれば、間違いなく『真田太平記』(池波正太郎さん)をあげます。全十二巻むさぼるように読みました。2周しました。歴史モノ、戦国モノはそれほど読んでいないのですが、この本だけは別格なんです。
...というわけで「真田」には興味関心がありこの本を手に取りました。幸綱、昌幸、信繁(幸村)の3代にわたる真田家の「シンソウ」(真相、深層)を知りたい、っていう動機から。池波さんの「小説」と大きく異なり、歴史研究者が史料、史実に基づいて語る、という内容で...

残念ながら自分の「欲」を満たすものではありませんでした。史実をもとに、という研究者としてのスタンスであるので、確固たる証拠がないものに関しては断定できない、という立場でいらっしゃいまして、特に幸綱に関しては、その史実がない、という理由から詳細はうかがい知れませんでした。どちらかというと武田晴信(信玄)の行動やヒトトナリが中心に描かれている印象です。中盤の昌幸については家康のことが中心、最後の幸村については(それまでに比べると)多少ドラマチックになってきますが、この人物についてはページ数が多く割かれていない...

どちらが正しいとかいうことではなく、史実に基づいた「検証」的な書き方と、脚色も含めた「物語」的な書き方があると思いますが、「史実」の方は自分には合わないようです。もちろん真田家特有の個性から周りの武家との関わり、というのが重要なポイントで、そこの説明は必要ではあると思うのですが、人物が生きていないというか、声が聞こえてこないというか。淡々とした事実の記載というのは、なんだか教科書的なイメージです。

歴史をひも解く専門家や、専門家に近いような方にとっては、こちらが「正解」だと思いますが、「楽しく読む」ための読み物としてとらえている自分のようなタイプは、池波さんタイプがベターです。
いろいろな計り知れない事情があったと思いますが、「家」や「地域」の反映、拡大のために尽力した真田家の「地域政治」については一切触れられず、時流を見て「その時に」有力な大名に与する、という真田の姿が、日和見主義的な、政党を渡り歩くポリシーのない政治家のように思えてしまいました。

戦国時代は今からは考えられないほどの環境だったと思いますが、誰を切った誰についた誰が自害した、という書き方から、「最近の子どもは人を倒すゲームを繰り返して命の尊さを分かっていない」という一方的な批評をする評論家の言葉を思い出しちゃいました...

次は「小説」にしたいと思います。

【ことば】戦争は...不測の事態は避けられない。それをカバーしうるのも、周到な作戦計画と、相互のち密な連携・協力なくしては考えられない。

家康軍と対峙した「西軍」(豊臣側)の、軍団としての稚拙さを説いているもの。まさに。こと戦争だけではなく、すべてにおいて言えることでもある。寄せ集め故に敗れたといわれる西軍だが、東軍だって寄せ集め。リーダー不在と、フォロワー不在、不幸が重なった結果といえるのか。

真田三代 (PHP新書)


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メモリーツリー
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