2011/02/28

読む側の心理状態によるねー

人間の覚悟 (新潮新書)
人間の覚悟 (新潮新書)
  • 発売日: 2008/11
『人間の覚悟』五木寛之
[22/40]BookOff
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

「覚悟」=「あきらめること」=「明らかに究めること」。超大作家の本ですが、実は初めて読みます。小説家のイメージ、及び「親鸞」のイメージが強いんだけど、ある意味「生きる意味」というか「生き方」を説いた本としては、結構すぐれもの。そこは小説家だけに、いい意味でも悪い意味でも「自分の型」を持っていらっしゃるのと、読ませるのがうまい。さらさらーっと読めてしまいます。タイトル及び冒頭の「あきらめる」については、けして厭世的になったり、投げやりになることではないことは、(先入観も含め)読み進めるにつれてわかってくる。ただ、著者の年代で経験された苦労と、今の世代のそれとはどうしても埋められないギャップがあって、そこは理屈では埋められないものなので、多少の「違和感」は残ります。あと(これは「敢えて」の書き方なんだろうけれど)著者が誰に対してメッセージを投げかけているのか、というのが少々見えない。「自分のこと」に割かれている時間が少し長いような気もしますね。全体的に(これぞ先入観ですが)小説のようであり、読み物を読んでいるような気持ちになってしまうことも...
宗教的な部分、それから(前述のものと多少矛盾しますが)厭世的なもの、それから時代のギャップ、それらを受けいれて、多少「客観的」に読むことができれば、プラスに作用すると思う。今の自分は「迷い」が少なくないので、「こういう見方」というシンプルな視点を持って読み進めましたが、それは明らかにプラスでした。「あきらめる」という言葉の定義にしてもそうですね。つまりは「やる前からギブアップする」という意味での「あきらめる」ということではない。土台があって、しっかり地に足を付けたうえで「明らかに究める」、すなわち(今はやりの)「選択と集中」のひとつかと思います。ただ、もし今自分がノリにノッてる状態だったら...★はひとつ減るんじゃないかなあ...そんな「客観視」もできたり。

人間の覚悟 (新潮新書)

2011/02/25

ん?はずしたか....

小宮一慶の実践! ビジネス思考力
小宮一慶の実践! ビジネス思考力
  • 発売日: 2008/12/06
『小宮一慶の実践!ビジネス思考力』小宮一慶⑨
[21/39]Library
Amazon ★★★☆☆
K-amazon ★★★☆☆

小宮さんの本9冊目!「打率」が高い著者なんですが、これだけはちょっと...「社長力」「数字力」「発見力」「解決力」...個別テーマについては結構面白くて、著者の「結果儲かる」という本質的な考え方が好きなんだけど、「ビジネス力」という包括的な本書は、それらの「まとめ」的な要素が強くて、全体にボヤーっとした感じがぬぐえない。
関心を持って、深堀りして、仮説検証。それはそれでもちろん正論ですが、現場では既に、この流れは「当たり前」として、さらに深く本質を見つけようとする段階に来ています。「入門」として書かれているとは思いますが、手ごたえ、歯ごたえがない内容に終始してしまっていますね...この「薄さ」だと、「コンサルに何がわかるっ。現場は机上と違うっ」っていう気持ちがわきあがってしまうねー。
 このフローをいかに充実させていくか、どうやって検証の精度をあげていくか、そのためにどのような視点を持つべきなのか。そういった「次のステップ」が是非読みたい。もちろん、小宮さんは自分のために書いているわけではないのだから、「ないものねだり」なんだろうけれども...
この本で「40冊目」だそうです。「継続は力なり」すごいですね。 ただ、どうもご自身の他の本の紹介が目立ちすぎて、(「詳しくは『数字力』を読んでください」というフレーズが随所にでてくる)ちょっとハナにつく。著者自身は、そういう気持ちで「商売」しているわけではないので、ちょい残念な感じ。日経新聞の読み方、など、つまりは「毎日少しずつ、こつこつと」というお話は、実感できるね。「ビジネス力」を付けるのは、「漢方薬」なんだよね。すぐに明日身につくモノではないから。そういう点をもっとクローズアップしてもよかったのかも。
「読みやすさ」はさすがです。すらすら、っと読めますよ。

小宮一慶の実践! ビジネス思考力

2011/02/24

せつない、あたたかい。

幸福な食卓
幸福な食卓
  • 発売日: 2004/11/20
『幸福な食卓』瀬尾まいこ
[20/38]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★★☆

「さとなお」さんのブログで書かれていた書評を偶然目にして。普段あまりこの手の本、特に女性が書くものは読まないんだけど、「出会った日」の翌日に図書館で「再会」して...
面白かったですねえ。父母、兄妹。バラバラのようでいて、でもつながっている家族。それぞれが個人として生きながらも、その家族内での役割も意識しつつ。もちろん「小説」の世界でしかないような「非日常」の出来ごとが重なる展開ではあるけれども、そしてけして「軽い」出来ごとではないのだけれども、非常に読みやすい、軽快なタッチ(表現があってますかね)で展開していく。「ひきこまれる」というのはこういうことを言うんだなあ、って後から実感できるほど、その世界に没頭してしまう。登場人物が動いてくる、そんなイメージなんだよね。
最後の意外な展開。これは「涙」の場面なのかもしれないけれど、「涙もろい」自分でもそこまではいかなかった。非常に「重い」展開で、主人公と同化して「辛い」気持ちになってしまったけれど...登場人物と同じくして一喜一憂している自分に驚いたりした。小説の魅力、ってこういうことなのかもしれないね。女性でもないし、中学生でもないんだけど、感情移入できる。素敵な体験。
軽い、けれども、全編にわたって貫かれているものがあり、そして「非日常」の出来ごとでありながら、「日常」が描かれている。うまく言えないんだけど、「いい気もち」で読める本です。小説はとくにレビューとかを事前に読まない方がよいですね。せめて☆くらいで。この本も事前にAMAZONを見てしまったら「ひきつけの力」は半減してしまいます。
「何か得なければならない」ビジネス書を読むときとはちょっと違うスタンスで、たまに読むのもいいかもしれない。他の作品も読んでみよう。

幸福な食卓

2011/02/23

熱い。さすが「キング」は超一流だ

やめないよ (新潮新書)
やめないよ (新潮新書)
  • 発売日: 2011/01/14
『やめないよ』三浦知良
[19/37]bk1
Amazon ★★★★☆
K-mazon ★★★★☆

43歳の現役プロサッカー選手。実はほぼ同年代。けして「熱狂的」ではないけれども、「一般レベル」でサッカーを見る、楽しむ、熱くなる自分からみても、あの競技は過酷だと思う。そんな中、Jリーグ以前から第一線で走り続けるキング・カズ。プロ野球の工藤投手もそうだけど、ベテランになると世間の目が「年齢的にピークをすぎてもがんばってる」という視点一辺倒になるなか、けしてご本人はそういう意識をもっておらず、カズでいえば「日本代表」入りを狙っている、工藤であれば「大リーグ」を目指している、これって、痛々しいイメージがなくはないけれども、本人はいたって「本気」なのだろう。また、そういう気がないと現役を続けていけないのかもしれない。
この本は、かなり刺激的なタイトルから、「今」のカズのことが書かれていると誤解していたが、日経新聞に5年にわたって連載されたコラムの集大成。ということで断片的で深みが...という「まとめ」本にありがちなマイナスはあるけれども、その場その場で、カズの「熱さ」が伝わってくる、5年前も今もまったくその「熱さ」が変わっていないことに感動します。プロのアスリートとして、まさしく「プロ」であることをリスペクトします、素直に。サッカー選手、ではなくて「プロ」ですね。とにかく「熱い」し、どちらかと言えば、世間的に求められる「枠」を超えたところに「プロ」の存在がある、という意識になります。どこまで「リップサービス」なのかわからないけれども、「遊び」部分も随所にでてくるし、著者もそれをけして悪いことだと思っていない。『一流になってバッシングされて、それを乗り越えてこそ超一流』という考え方は、まさしく「プロ」のスピリットそのもの。
もちろんコンディション作りや鍛練についても書かれているけれども、おそらくそんなレベルではないトレーニングを続けているんだろうと思う。けして外からは見えない努力。それこそ「プロ」だよね。かっこいいです。
最後の方にでてきた言葉が特に印象的でした。
『学ばない者は人のせいにする。学びつつある者は時部のせいにする。学ぶということを知っている者は誰のせいにもしない。僕は学び続ける人間でいたい。』
これだ。
いつも真剣にいますか?いつも上を見てますか?いつも「今」を生きてますか?大事なことがいっぱい詰まってますね。


やめないよ (新潮新書)

2011/02/22

セオリー、ですが、どこかで聞いた話で

意思決定力
意思決定力
  • 発売日: 2009/10/17
『意思決定力』本田直之③
[18/36]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

目的を明確化したうえでの情報収集、選択、事前準備をしたうえでの実行、リカバリー。「意思決定」をする場面が少なくなった(=しなくてよい環境になった)現代ではあるが、これから先はそうもいかない。自らを「意思決定」をする立場に置き、そのスキルを鍛え、意思決定できる人間にならなければ、「成功」はなし得ない時代になっている。そのためには意識とトレーニング、そして実行。これらの繰り返しが大事だと。最後にたとえ話で「カーナビに頼って、自分で考えて運転することがなくなっているのではないですか」という問いかけがあるが、それがすべてを表しているような気がする。
...確かに、著者が説いている視点、フロー、すべてが正しいように思われるし、それでなきゃっ、って思うことは多い。否定するようなところはひとつもないんだけれども、結構他でも目にすることが多いポイントを、わかりやすく丁寧に説明してくれている、という内容。「ビジネス書」としての入門のようなイメージです。かといってこれが全部できているか、って問われたら心もとないんだけどね..
「全部」は出来切れていないかもしれないけれども、少なからず、「あー、そうそう、やってるよー」という点も少なくない。なんとなくそれで満足(してしまってはいけないんだろうけれど)感は、少しだけ感じたり。それなりに「経験」を積むことが結構大事なんだろうなあって思います。ビジネス書は読まずとも実践で意識すればできるかもしれないことが書かれています。
なんにせよ、スラスラ読めるのは気持ちのよいものですね。「意思決定力」を最大限活用している著者ならではの著作かと思います。「こーゆー文書が書けたらいいなあ」って、本筋とは関係ない感想を持ったりしてしまいました...

意思決定力

2011/02/21

「論語読みの論語しらず」...「論語読み」にすら

論語に学ぶ (PHP文庫)
論語に学ぶ (PHP文庫)
  • 発売日: 2002/10
『論語に学ぶ』安岡正篤
[17/35]bk1
Amazon ★★★★★
K-amazon ★★★☆☆

『武士道』の次は『論語』。我ながら読書の「中身」が変わってきた、と自負...のはずが、そうそう甘いものではなかった。正直「咀嚼」できずに終わった。『論語』に関しては、その名が轟いている安岡先生。多少「昔」の講義であることもあるけれども、原文(読んだことはないけれども)とそう変わらない難しさに直面。「論語読みの論語しらず」という者が多いことを著者は憂いているが、自分などまだまだ「論語読み」のレベルにすら達していないことを痛感です。
おそらく『論語』をある程度読みこなしている「論語読み」の方々には、正しい(と思われる)著者の解釈や、それを現実的にどういう方向で考えるか、活かすか、という本書の内容は、まさに「的を射る」ものになるのであろう。が、「解釈本」を数冊読んだに過ぎない自分には「レベル差」を感じる者以外の何物でもない...
とはいえ、「興味」レベルであっても、少なくとも『論語』、孔子のスケールの大きさ、現代にも通ずる本質、奥深さを「感じる」ことはできる。この本を読むことで、ごく小さな前進はあったのではないか...というか前進せねばならぬのだろう。著者が言う、或いはそもそも『論語』が解くところ、すなわち、求めるべくは「本質」であり、表面的なものではない、そしてある程度の知識レベルを身につけなければその本質を追うことの「資格」すら得られないんだよ、ということ、人間的に「大きく」なるためには、それを自分のハラにおとして、自分のモノ、自分の考えとして会得しなければ、どこまでいっても「表面的」にすぎない、という、シンプルなれど重いところに当たる。
あたりまえだけど「読む」だけでは何も進まない。でも読まずに済むわけではなくて、最低限ベースとしての知識は大前提だよ、ということ。「不惑」の意味が改めて身にしみた時間でした。

論語に学ぶ (PHP文庫)

2011/02/20

外国向けの逆輸入、故にわかりやすさもわかりにくさも

現代語訳 武士道 (ちくま新書)
現代語訳 武士道 (ちくま新書)
  • 発売日: 2010/08/06
『現代語訳 武士道』新渡戸稲造
[16/34]BookOff
Amazon
K-amazon ★★★

最近になってから、ですね、「論語」「学問のすすめ」そして「武士道」。長く読み続けられている「古典」が一番安心できる、っていうか...「テクニックだけではどうにもこうにも光を見出しにくい」というところにいくと結局「古典」=普遍に戻ってくるのは世の常、なのかもしれない。
「戻る」という言葉をつかったけど、実は『武士道』は初めて読む引用されているものを見ることが多かったのだが、「オリジナル」は初、です。幕末から明治維新を生きた人たちは、今からみても、本当にドラマチックな時代を生き抜いたんだと思う。幕府という絶対的なものが壊れる瞬間はもちろん言葉にならないくらい「激動」なんだろうけれど、明治も後半になるとまるで現在のような「課題」がでてきているようだ。すなわち「政治の腐敗、権利の集中、レベルの低下」...わずか30年から40年間の出来事である。武士が中心だった時代から「無血革命」を経ていっきに近代化した、この時代。ものすごく「動いて」いたんだろうなあ。
本書は、(本当の意味で)海外に向けて「開国」した日本、日本人を、より理解してもらう目的で、外国人向けに書かれた書である。それを和訳して、さらに現代語訳して...遠い道のりを経て、今ここに読める時代を素敵に思います。すごいよね、こういう機会をつかむかつかまないか。これって意外に大きい(大きくなる)んではないかなあって思ったりも。
そういう「生い立ち」なので、武士とは何ぞや、武士の精神とは?という直接的なものではなくて、日本論、日本人論ですね。もしかしたら当時、外国人が描いていた「日本の謎」に対して、「こういう背景があるからです」という答えであるような本ですね。それゆえ、「現代」というある意味、当時の人からしたら「外国人」を越えるような存在である自分たちにも読みやすい部分はあります。けれど、著者は相当の博学ですので、そもそもシェイクスピアや、その他「古典」の基礎を知らないと、その引用の意味がわからないので難しくなってしまう。自分がまさにそれですが...
金では動かない(むしろ避けるべきものという意識)、義、仁、忠義、武士のあるべき姿、それがその後の日本人に与えた影響、今のタイミングからみても「理解できる」点と、それから「今は当てはまらない」という点があると思う。けれど、自分たち日本人の、昔の(つい最近、かもしれないが)「考え方」を知っておくのは、それはそれ、必要だと思いますね。それに合わせる合わせないは別として。最低限自分の国のことを知る。でないと「インターナショナル」とはいえないですよね。ベースを知らずしてその上にはいけない。

現代語訳 武士道 (ちくま新書)

2011/02/17

残るものは多くないですね、残念ながら。

『イシューからはじめよ』安宅和人
[15/33]rakutenbooks
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

よくわからないタイトルと、極めて高いレビュー評価。ビジネス書にありがちなケースであるが...科学者、コンサルタント、そしてYahoo!と、同年代の自分から見ると、悔しいくらいに「上」の方。そこは尾を引かない程度に素直に読んでみた。イシュー=本当に解くべき問題点を見出す、それを分析し、「解の質」を高める。まずは本質的に不必要なものに取り組んでいないか、それに時間、労力をかけすぎていないか、そこから手をつけようと。「量を高めることによって質が高まる」のではなくて、最初から「本質」を見出すようなスキルを身につける。テーマはこれである。コンサルの経験からか、伝え方がけっこう「上から」のような印象を与えるもので、読んでいてあまり気持ちがよいものではない。本質を捉えて資源を集中させる、っていうのは、著者が「他には見当たらない。それが本書を書いた理由」と言っているほどには「異質」ではなく、最後まで(なんとか)読み切れば、結局は「どこかでみたような」ものになっているんだよね。本質を見る目、という点で「テクニック(ありき)ではない」と冒頭にあるけれども、本書の大半のスペースは、「テクニック」について割かれているような。もちろん書かれていることに異論を持つわけではなく、まさに「本質」ではあるんだけど、入口のアプローチが多少異なるだけで、つまりはテクニック論に近い。コンサルの本にありがちな(先入観、ですかね..)「市場」「エンドユーザー」の視点がほぼゼロであるのも、「ん?」という感じ。自分自身の理解力の低さをタナニアゲテ、ですけど、「結論から逆算した分析」と「イシューからはじめよ」というのが結び付かない。それこそ「本質」を理解できていない自分のレベルの低さ、なんでしょうが、レベルの低い人でもわかるようなシンプルさ、というのも必要、と本書にもありましたよね...
マーケティングも広告も、「新しい考え方」が必要になってきている今、この内容はあまりタイミングがよいとは言えない。「本質」って、っていうところが今最大のポイントなんで。

「テクニック」として、参考にできる箇所はありました。 使えるものは使ってみる、そのスタンスは変わりませんが、「特別!」という感じは、タイトルが最も表しています。マーケティングの勝利、ですかね。

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」

2011/02/16

「中年」の定義を見てからにすればよかった

『若さに勝る「中年力」30の習慣』米山公啓
[14/32]BookOff
Amazon
K-amazon ★★☆☆☆

完全にタイトルにやられました、100%。やっぱりこの年(1967年生まれ)になると、自覚しようとしなくても「対外的」な部分も大きく、「世代」を意識してしまうのです。この「自覚のなさ」がひとつ問題で、「社会的」には、「相応」のパフォーマンス、アクティビティが求められているはず。それも意識しつつも、これまでの延長のような立居振舞もアウトプットしたくて...いかんね。「若手世代」とは違うことを前提に、「どう違うのか」を考えていかねばならないのだ。そんな意識が高まっている中、「衝動的に」棚からカゴにいれてしまった本。が...
まずは「中年」の定義から始まるのだが、そう、「中年=40代」のことを書かれているものだと思いこんでしまったが、中身はもう少し「上」の世代。明確にいくつからいくつ、とは表されていないが、50代、というところがターゲットと思われる内容で、最後まで貫かれる...
少しだけ「未来」の話として読むのはいいかもしれないけれど、意気込みが強かった分肩透かし。多分その世代向け、ということもあって、文調は終始「読みやすく」「やさしく」あるんだけど、小さなノウハウ、というかヒント、というか、たとえば「iPADなど、最新の機種を使ってみよう」「料理を初めてみよう」「ウォーキングを」「家庭菜園を」...といったレベルで、ひとつひとつの章が1~2ページでは、深みが生まれない。著者の趣味である「クルーズ」についても少なくないスペースが割かれていたりとか...強弱の差はあれ、また、内容の差はあれど、「テクニック」論がメインで、「考える」ことについてはあまり見当たらなかった、という印象なり。
数年後に、この世代に到達したときに、十分に「アクティブ」でいるために、今からこーしよう、あーしよう、という気持ちにはなったけれど....多分、忘れちゃうなあ。

若さに勝る「中年力」 30の習慣 (講談社プラスアルファ新書)

2011/02/15

宇宙って...物理学(者)って...

宇宙は何でできているのか (幻冬舎新書)
宇宙は何でできているのか (幻冬舎新書)
  • 発売日: 2010/09/28
『宇宙は何でできているのか』村山斉
[13/31]bk1
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

プラネタリウム、「はやぶさ」の本...そう、実は今「宇宙」に対して興味津津だったりする。そしてこの本、新書ベスト1だったり、いろいろなメディアで取り上げられていたり...期待大!出だしはその気分をさらに盛り上げる。宇宙の始まりと終わり。宇宙は何でできているのか。すごいよ!知りたいよ!本を読み終わった後に、多少なりとも(これまで持ち得なかった)知識を持っている自分を想像して舞い上がってみたり...
が、現実はそう甘くはなかったね。さすがにベストセラー、著者は難しいことを易しく解説してくれています。が、やはり「素人」が簡単に入り込めるほどの高さでは、その敷居はなかったのでした。途中から-これも宇宙の謎をひも解くための最低限の知識であるのだろうが-相対性理論、量子力学、そして原子、素粒子、クォーク...挫折寸前、でした。
ノーベル賞を受賞した、「ニュートリノ」「カミオカンデ」などなど、そのキーワードはどこかで聞いたことがあるレベル(且つ、何か面白そうな、っていう興味はある)で、電子やら反物質やら、そのあたりになるともう完全に「お手あげ」でした。著者の「あたたかい」気持ちによって、なんとか最後まで読み切ることができたのがせめてもの...
「物理学」という分野の「大きさ」「底の深さ」、そしてこの分野においては日本人の研究者も世界的なレベルで活躍しているのだなあ、って「科学」とはかけ離れたところで感心する程度です、自分は。物理学者って、難しく考えてそれをシンプルに表現しようとする、それって「まとも」ですねー。あと、彼らを研究に向かわしている動機、ってなんだろう、と考えると、それは多分「なぜ?」っていう疑問に対するシンプルな解決欲求なんでしょうね。それを突き詰めるその意欲に敬礼!
全体を通して、素人レベルには(「入門書」とはいえ)難しすぎたんだけど、その分野で高い位置にいる著者が、それこそ「シンプル」に、この分野における興味や関心を持つ人が増えること、それに向けてこの本を書いている、自分たちの研究分野にとどまらずに広く「実際の場」にも門を開いている姿勢が素晴らしいと思う。開いている門に入れない自分がもどかしいが...でも「宇宙」に対する、その神秘性に対する興味は失っておりません。

宇宙は何でできているのか (幻冬舎新書)

2011/02/14

よくある内容、だけど、気持ちがよいですねー

『大人のための幸せレッスン』志村季世恵
[12/30]BookOff
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

タイトル通りの内容です。幸せになるように「考え方」を教えてくれる。表面的な方法ではなくて、「考え方」ですね。
・イヤなことがあっても、その出来事を逆の面からみることでプラスに考えられる...臆病と慎重、そんなウラオモテですね。
・他人を責める、自分を責める、そんな場面で、少し立ち止まって見る、全体俯瞰を見る余裕を
セラピストの著者が、事例をベースに「やさしく」解説してくれる、そうですね「優しさ」と「易しさ」が載っています。「けして無理をすることはない」というスタンスが貫かれていて、周りをフっと包む暖かさ=優しさ、そして、その解決策についても毎日我慢して自分を変える、とかではなくて、できるところから、という易しさ、を以て書かれています。
そんな理由で、書かれていることは結構多くの「自己啓発本」に見られることが多いのだけれども、読後にはそれがすんなり自分の気持ちに収まる、そんな感じ。
著者自身が4人のお子さんを持つ「お母さん」であるのと、おそらくカウンセリングに来る方々の性別と、という背景から、この本の対象者としては「女性、子育て中」というのがメインと思われる。けれども全く対象から外れている自分が読んでも、スムースです。ちょっと実行してみよう、と思うものもあるくらい(実はひとつ早速試している)。気持ちのよい本、いいですねー。

大人のための幸せレッスン ―自分を幸せにする31の方法 (集英社新書)

2011/02/13

「息子」に話しながら、実は自分に問いかけている。

父親が息子に伝える17の大切なこと
父親が息子に伝える17の大切なこと
  • 発売日: 2010/12/15
『父親が息子に伝える17の大切なこと』森浩美
[11/29]bk1
Amazon ★★★☆☆
K-amazon ★★★☆☆

父親が、息子に、おそらく小学校高学年くらいの息子に、「挨拶」「お金」「いのち」...いわば「当たり前」のことをダイレクトに(=言葉を飾らずに自分の言葉で)伝える、という内容。けして特別のことをいっているわけではなく、新しいことも見当たらないけれども、改めて『あたりまえのこと』の大事さを思い知る。本を読んでいればよく見かけるこのキーワードではあるけれど...できているんだろうか?出来ていないところがあれば意識して「当たり前」にせねば、ね。
この本自体は、30分もあれば読みきれる。特別な哲学者でも思想家でもない、「フツー」の父親が、「フツー」の言葉で息子に話す。「重み」は感じられないけれど、「近い」感じはするね。
けれど...なんだろうか、「現実味」が薄いんだな。理由はわからないけれども、読んでいて「音」が感じられない、っていうか。「対話」形式の本って、なんとなく「入り込む」と「音」を感じるんだけどさ、この本にはそれがない。しかも「父と息子」という自分にとっては限りなく自分に重ねられるシチュエーションであるにもかかわらず...まあ、それはそれとして...
「息子」に話す、諭していることは、とりもなおさず自分を省みるきっかけになるだろう。「真剣に」話すことができれば、自分にとっての「成長」も促す。もちろんそれが主目的になってはいけないんだけど。「父と息子」以外の環境、例えば会社の上司と部下、学校の先生と生徒、それにも適応できるか...本書はそこまでは広がりは難しいかと思う。あくまで「親から子」レベルで成り立つ、その範囲。
著者は、SMAPとかKinkiKidsとかの作詞をしている、ということに読み終わって気づく。多才だなあ。

父親が息子に伝える17の大切なこと

2011/02/12

難しい...言葉にするのはさらに難しい

飽きる力 (生活人新書 331)
飽きる力 (生活人新書 331)
  • 発売日: 2010/10/07
『飽きる力』河本英夫
[10/28]BookOff
Amazon ★★★★★
K-amazon ★★★☆☆

タイトルから受けるイメージ(=軽いタッチを想像)とは逆で、「哲学」「思想」分野の内容でした...「オートポイエーシス」というシステム論、精神病理、リハビリ...自分にとっての「非一般的」な話題が中心でしたが、著者からの歩み寄り=世俗的な例を使っての説明を以って、なんとか最後まで読みきった...
「飽きる」とは、
・選択のための隙間を開くこと。
・異なる努力のモードに気づくこと。
・経験の速度を遅らせること。
...わかりません。イメージとして、人間が生まれてから歩行ができるまでの過程、をあげている。まずは足の筋肉の使い方、上半身のバランス...段階を追って結果「走る」ところまで達するが、段階のステップアップにおいては、前段階で獲得したスキルは無意識になり...
...言葉での説明はさらに混乱の原因になりますね。ただ、なんとなく「イメージ」だけはできている気がする。だからどう?ってのは見出せないんだけど、著者が「飽きる力」という言葉で表現しようとしていることが。
一方、リハビリの話。例えば、脳障害によって左半身に障害が残ってしまった人のリハビリ。「左半身」を鍛えなおすのか、そもそもの要因たる「脳」を再生するのか。見える部分と見えない(もともとの)部分、どう対応していきますか?って話です。これは「飽きる力」とどういう結びつきがあるのかちょい分からない、そしてこれを以って「大事なのは本質です。見かけじゃなくて」という結論でもなさそう。深いのか浅いのかわかりません。
哲学、科学、思想、宗教。言葉の世界とはちょっと違うところにあるみたいですね。今は正直この手の本を読むのが苦しい。苦しいけれどその世界を求める、少なくとも興味を持っている自分もいるんだよね。だから少しずつ「近づいて」いこうと、思っています。

飽きる力 (生活人新書 331)

2011/02/11

人生相談って、不思議な感覚ですね...

養老孟司・太田光 人生の疑問に答えます
養老孟司・太田光 人生の疑問に答えます
  • 発売日: 2007/01
『人生の疑問に答えます』養老孟司制作委員会
[9/27]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

BS(?)番組を元に書籍化、『バカの壁』養老孟司と、「爆笑問題」太田光が視聴者からの人生相談に答えます、という内容、プラス二人の対談。NHKだし、非常にまじめです。そもそも「人生相談」をテレビなどのマスメディアに対して投げかける方々の気持ちがわからないので、この手の番組もあまり見ないし(興味がない)この手の本も読まないけれども、質問もそれに対する回答も極めてまじめです。ただ、それが質問者へのアドバイスに「的確に」なっているかどうかは不明。読んでいる限りでは、「養老先生」の個性が強くでていて、なんとなく「回答者=アドバイザーありき」の「質問回答セット」のような印象を持つ。つまり回答者が答えやすい(この場合は番組として成り立つような)質問を選んでしまっているような気が。読むにあたってそこまで考える必要なないのかもしれないけどね。
リタイア後の虚脱感とか、転勤に伴う地域との付き合い方とか、上司との確執とか、自分のやりたい仕事ができない、とか...わりと相談としては一般的なものが多いんだよね。そしてその質問が読後に印象に残っていない。二人の回答がメイン、要は、養老先生の本である、ってことだね。
正直なところ、養老さんの本は苦手なんだよなあ。言い回し、がどうも読みにくい。辛らつで毒舌で、っていうのは好きなほうなんだけど、意味が取れないことが多々あって。読んでいるうちに広がっていく、拡散していくイメージかな...なので太田さんの回答が余計にまじめに感じた。そう、あまり毒がないくて(期待していたほど)面白くない、そういうこと。

養老孟司・太田光 人生の疑問に答えます

2011/02/10

熱い...けど、ちょい「カラマワリ」感も

「ここ一番」に強くなれ!
「ここ一番」に強くなれ!
  • 発売日: 2009/02/19
『「ここ一番」に強くなれ!』三田紀房
[8/26]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

仕事に行き詰ったとき、「成功本」を手にして解決した気になるだけでいいのか...そもそも「普通」ができていますか?時間厳守、挨拶、報連相...かなり刺激的な言葉が並ぶ「ビジネス書」である。本文の中で「ビジネス書」を否定しているが、これも「ビジネス書」であることには変わりない。
普通のことができているのか?
いつか成功するために、という気持ちではいつまでもできない
常に「本番」であることを意識せよ
「時間」管理が基本中の基本だ
...「ウロコ」までは達しないまでも、言葉が強い分、「おっ」と思うことがないことはない。けれども、やっぱり「強い」というレベルが超えてしまうと、逆に反発するような気持ちにもなりがちで...途中から、ちょっと疲れてしまいました。「ビジネス書なんか読まずにマンガを読め」とか、極端な話がでてきたり、「公私混同を徹底してやれ」という、よくわからない(それが何か?という)こともあったり...
「最初の壁」にあたる、社会人5年目くらいのビジネスマンにはいいのかもしれないけれど、今の自分にはどうも...「ホーム&ウェイ」というキーワードを使って、「まずはホームで勝つことを考えよ」つまり、社内でのノウハウの蓄積、人脈、人の使い方、等を徹底させることが基本、というのは、ある意味面白い考え方だとは思ったが、それ以外は...
さすがに、「読ませる」ことは上手だなあ、という気がするが、それこそ著者が否定するような「読んだだけで出来た気になる」危険性は孕んでいるんではないかなあ。
「普通を徹底する」=当たり前のことを当たり前にやる、実行が第一。こういうのって、実は「ビジネス本」によくあるフレーズ。書き方が違うだけで(一時的に)受ける印象が変わってくるんだなあ、っていうのは実感。1時間で読めるので、さらっと読んで「次」の本にいくのがいい流れかと思われます。

「ここ一番」に強くなれ!

2011/02/09

理屈は理解。けど重いわなあ

本を読む本 (講談社学術文庫)
本を読む本 (講談社学術文庫)
  • 発売日: 1997/10/09
『本を読む本』J・モーティマー・アドラー
[7/25]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

元本は、1940年刊行...それ故、引用されているのが『資本論』だったり「ジョン・ロック」だったり。まるで世界史の教科書(の「文化」ページ)をおさらいしているような感覚に。
その昔、と思えないほど、「読書」に取り組む姿勢について本質だなあって思う箇所はある。訳も時代経過を考慮しても読みやすいと思います。基本的な内容は、読書するにあたって、本と「著者」と対話する、概要をつかんでから深堀りしていく、というスタンス。科学、哲学、教養の本、実用書、小説に至るまで、それぞれどのように「取り組む」べきか、というハウツーが書かれています。それはそれで、気がつけば「漫然と」読んでいる自分にとっては耳の痛い話かも。けれども、こういう「読み方」をあらかじめ学んでから「読書を開始」するのも一手だが、自分の場合は、「ランドク」していく中で、なんとなくそのような「読み方」ができるようになってきているのかもしれない、と少しだけ自己満足。曰く、
・著者の本当に伝えたいことを見抜く
・そこで挙げられている問題点、提示されている解決案を、見出す
・著者がその1冊の中で何を言わんとしているのか、概要をつかむ。ポイントをつかむ
「なんとなく」レベルなんだけど、多読を続ける中で「実践で」身に付けた(と勘違いしている?)ところも少なくないんだなあ。だからこういう本を読むタイミングとしては悪くなかった。最初に読んでしまうと肩にチカラが入ってしまうタイプだから...
なによりポイントとして自分が捉えたのは、「深堀りして読む本」と「ポイントだけですませる本」を見極める、という点。この時代でもそうだったのだから、今の時代、良くも悪くも「新刊」が多数でる中で、且つ「他人の意見」を見ることができる環境の中で、さあ、どのように選択をするか。「目」ですよね。その「目」を持つこと。くどいようだけどこれは(そのための)ノウハウ本を読んで身に着く人もいるだろうけれども、「現場」で身につけていく人もいる。どちらのコースも、「意識」が必要、という点は変わらないけども。

本を読む本 (講談社学術文庫)

2011/02/08

夢。一番大切な、夢。

1歳から100歳の夢
1歳から100歳の夢
  • 発売日: 2006/04
『1歳から100歳の夢』日本ドリームプロジェクト
[6/24]楽天Books
Amazon ★★★★★
K-amazon ★★★★★

小学生の子供の文集で、確か5年生がこの本の感想文を書いていた。それで興味を持って読んでみた。
なんの手も加えられていません。タイトル通り、1歳から100歳の人、それぞれが「夢」を語る。それだけ。ストーリーも「統一」もありません。でもね。みんな「いい顔」をしているんです。夢を語っている人はみんな。
本の順番通り、1歳から読み始めました。自分の今の年齢から見れば、これまで経験してきた「1歳~42歳」そして、これから迎える「44歳~」。前者は、過去を思いだし、そしてまっすぐに「夢」を語る熱さ。まっすぐです。かわいい。自分は何か失ったものがあるのかも。取り戻すべきことがあるのかも。思いだすべきことが。そして後者。意図的ではないのだろうが、「夢」がだんだんと「周り」にシフトしていくのがわかる。家族の幸せ、子供の幸せ。地域の幸せ、若い人たちへのエール。素敵です。こういう「夢」をこころから語れる、そんな人になりたい。ホントにそう思う。
100人の「夢」を読ませてもらって、100人の「いい顔」を見させてもらって、どの人が、どの夢が一番よいとか、どの夢は共感できない、とか、まったくありません。「生きてる」そんな熱さが、熱がちゃんと伝わってくるんだね、100人分、確実に。
 ここまで「脚色なし」に、それでいて熱い心がわきあがってくるような本もそうないだろう。出会えたことに素直に感謝する。そして、1年後、2年後と、時間が経つ、つまり自分の年齢を重ねるたびに、この本を何度も読んでみたい。自分の置かれたその時点で、本から伝わってくる「熱」も、形を変えてくるだろうと思う。
それと。自分が今持っている「夢」、これを大事にすること。これを改めて思った。強く思った。

1歳から100歳の夢

2011/02/06

これが「おもてなし」なんだよなあ。まさに「プロ」

銀座久兵衛 こだわりの流儀
銀座久兵衛 こだわりの流儀
  • 発売日: 2010/03/24
『銀座久兵衛 こだわりの流儀』今田洋輔
[5/23]bk1
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

およそ自分の「生活圏」には入らないお店「銀座久兵衛」の二代目。もちろん名前は知っているけれど(接点がないので名前以上のことは何もしらない)、長年続いた一流のお店だということくらいしか。昨今この手の「老舗」は、何か問題が発生するくらいしかニュースにはならないが、この店は違う。その理由はこの本を読んでいく中で少しづつわかっていく。
板前の教育、心構えの持ち方、接客の根本的な考え方、リーダーの「動き」方、どれをとっても「プロ」を感じさせる。寿司屋だからどうこう、というのは一切ない。「マインド」が内容の主軸であり、現場発信のリーダー論としては、かなり「上級」レベルではないだろうか。なにせこの著者が「現場」にいる。二代目ということのプレシャーは想像を超えるものがあると思われるが、「オヤジ」は常に現場におり、目は現場、お客様に向いている。それを演出する板前、ホールの人間は「プロ」であることを徹底して、そしてリーダーの背中を観て正しい方向へ進んでいく。「オヤジ」が真剣な分、その熱が正しい方向に向かっている分、周りも迷うことはないだろう。
お客様は、その店に何を求めてくるのか。寿司の味?それだけではないよね。そこにいく期待感、それを上回るお店の空気、板前との会話...そこで支払う金額は、久兵衛にいる「時間」への対価であるのだろうか。単なる寿司そのものの対価ではないはずだ。そしてそこで働く人たちも、「久兵衛で働くステイタス」に価値観を見出すことになるんだろうね。
この「好循環」の源泉は何か。二代目の「熱」、「真剣さ」なのだろう。現場にいる、すなわちお客様に近いところにいる、ということが実は最もポイントである気がする。
最後にひとつ。「板前の修行」というと、かなり「師匠弟子」的な、ある意味「前時代的な」イメージがあるが、どうも最近では、「人材難」に対応するような方向性のようである。つまり「見習い」の立ち居地が以前よりも強いというか...でも著者はその時代の流れにもうまく適応しているようだ。このあたりの「しなやかさ」が、変化の時代でも基盤が揺るがない一因なんだろうね。やっぱり軸が芯が確固たるものであるところは、強い。
ただ...「きっと久兵衛ってすごいんだろうなあ」という(勝手な)期待を持っていたので、それを超える驚きはありませんでした。完全に「自己都合」ですけれども...


銀座久兵衛 こだわりの流儀

2011/02/04

わかりやすい。「ドラッカー」が難しいから?

『ドラッカーの実践経営哲学』望月護
[4/22]BookOff
Amazon ★★★★★
K-amazon ★★★☆☆

「ドラッカー」がブームである。そう「もしドラ」以来盛り上がっていて、「便乗」とも思えるものもあるかもしれない。この本も...と思っていたら、02年の本なんだね。だから「ブーム」より前なんだ。ドラッカー自身がもっと前からいろいろなことを提唱しているしね。
実は「ドラッカー」の著書は読んだことがありません。「周辺」については、(もしドラを含めて)3冊目になる。けして「食わず嫌い」ではない(つもりだ)が、なんとなく敷居が高い。んで、この本。この内容については、本当の意味で、ドラッカーの「エッセンス」だけを借りて、それを著者が翻訳、意訳してくれている、日本の「今」の状況に置き換えて「解説」してくれている、そんないイメージです。
「本物=ドラッカー」の理論がベースになっているのですが、「マネジメント」「マーケティング」「イノベーション」この3点の重要性に絞っての解説。お客様が見えていますか?作り手(売り手)側の理論を押し付けて、売れない理由を買い手側に置いて「安心」していませんか?...基本中の基本、なんだけど、ともすれば流れてしまいがちなところである。事なかれ主義になりがちな組織を「正しい」方向に向かわせるのが、経営・マネジメント。売りにくい(と思っている)モノ、コトに対して、何をどのように組み合わせるのか、がマーケティング。実際に会社の存続にかかる大事な部分であるにも関わらず、軽視されがちな「販売」を見直すこと=短期的な利益だけでよいのか?組織のホントの存在意義は?...といった「ビジネス書」に多くみられる内容であるが(おそらく多くの「ビジネス書」は、なんらかドラッカーをベースにしているのだろう)、やっぱり基本中の基本である。
淡々と「基本」を思い起こさせてもらった功績はある。あるけれども、基本であるがゆえ、本文の進み方に抑揚が少なく、あまり面白くない。「元」のドラッカー、そしておそらく著者自身も「まじめ」なので、ワクワク感がないんですね。そんなものは不要っ、かもしれませんが、読む側になってみると、多少の「遊び」があった方が、気楽なんですねー。

[新版]ドラッカーの実践経営哲学 (PHPビジネス新書)

2011/02/03

感動です。まさに「人知を超えた何か」がそこにある

『はやぶさ、そうまでして君は』川口淳一郎
[3/21]bk1
Amazon ★★★★★
K-amazon ★★★★★


地球から3億キロ離れた小惑星への「旅」、それだけでロマンなのに、その惑星の砂を持って地球に帰ってくる-これほど「夢」を見させてくれるストーリーは他にはない。実は、千葉市のプラネタリウムでそのストーリーを2回見た。1回目はもちろんだけど、2回目も(ほぼ同じもの)感動がまったく薄れなかった。構成やナレーションもあるけれど、「はやぶさ」が単なる機械とは思えなくて、最後地球に「帰って」くる時に、大気圏突入時に燃え尽きてしまう...というのがなんだかやるせない気持ちにすらなった。
この本は、その「はやぶさ」プロジェクトのリーダー、はやぶさの「生みの親」の書いた本。構想からは20年近く。途中歓喜と落胆を繰り返し、絶望したときもありながら、「帰ってきた」はやぶさ。もちろん本を読んだり、プラネタリウムを見たりしただけの「観客」である私の比ではない「感動」を、著者が誰にでもわかりやすい言葉で語りかけてくれる。
タイトルもそうだし、その書き方も、けしてスマートではない。けれど、この「成功」を次世代に伝えたい、という気持ち、それから、片時も忘れなかった「はやぶさ」への思い、そんな「熱」が伝わってくる内容である。ホントに伝わってくるんだよ。不思議なくらいに。
もちろん技術的なことは前提として、著者が繰り返していた、「プロジェクトチーム全員の思い」が、はやぶさを帰還するまでに至らせた、というのは本当のことだと思う。人知を超えた何か...偶然の出来事が数々の危機を救い、通常考えられない状況の中、はやぶさは任務を完遂した。日本の宇宙技術や、「彼」が持ち帰った、小惑星の物質の今後の研究等、科学的な功績は限りなく大きい。けれど、このプロジェクトリーダーは、最後にはむしろ、「息子」同然のはやぶさの帰り、これを一番に願っていたのではないだろうか...そんな気もしてくる。できることはすべてやりつくして、それでももどかしくて「神頼み」をするシーン。これって、感動的です。「機械」ではない、「身内」なんだよね。
税金の投入なんで失敗できない、或いはNASAがそうであるように、リスクのある(リターンの見込みの小さい)プロジェクトはカットする、そんな方向に世の中が進んでいるけれど、著者が言いたいことのひとつに、これに対する「夢を持てるようなプロジェクトがないといけない」というのは、はやぶさが教えてくれたひとつである。成功したから言えることなのかもしれないけど、あまりに「短期的なリターン」に偏ってしまうと、窮屈な生き方になってしまうよね。会社だってそうだ。
トラブルに見舞われて、60億キロも飛び続けたはやぶさ。最後にその生涯を終える直前に移した地球の写真を見て涙するのも不思議ではない。「夢」。その実現にむけての努力。ひとつになるチームワーク。理屈ではない感動がここにある。

はやぶさ、そうまでして君は〜生みの親がはじめて明かすプロジェクト秘話

2011/02/02

ん?「おもてなし」?「経営学」?

『おもてなしの経営学』中島聡
[2/20]BookOff
Amazon ★★★☆☆
K-amazon ★★☆☆☆

アップル、グーグル...数年の間に世界のトップに躍り出た「理由」は何だったのか。切り崩せるレベルではなかったマイクロソフトを凌駕した要因は...?それが「ソウル(魂)」であり、「おもてなし」という考え方である、ということ?大部分が、「業界の勢力図」と「著者のヒストリー」に割かれていて、一番興味のあった、そしてそれが故に購入(BookOffだけどさ)のきっかけとなったタイトルの意味合いが見つけられず。マイクロソフトで働いた経験があり、場面によってはビルゲイツとやりあった、という著者であるが、グーグルに声をかけられているけど行かないよ、って「対談」で言っていても、なんだか読者としては面白くない。そこを読みたいと思っているわけではないし。
また、最初の半分は、著者の考え方が述べられていて多少なりとも(同意するかどうかは別として)読めたんだけど、-これも以前に著者自身がブログ等で世に出していたもの、ということだが-、後半は「対談」ということで、かなり専門的かつ自己満足的で、「おもてなし」で読み始めた読者はおいてけぼり状態である。「対談」にしては、一人の話す分量が多くって、主張しあい、というか、前に進まない酒の場での話(もちろん、比べようもないくらい高度な内容ではあると思うけど)のようで、その時点で専門的な知識のない読者にとっては「排他的」にすら感じる。しかしまあ、「カタカナ」が多いよね、「プロ」同士の話って。にわか「ワイン好き」や「サッカーファン」と同じニオイがするね...
著者のようなスゴイ人が日本にもいるんだなあって思ったけど、それで?という感じだねー。「素人」の読者に対しての「おもてなし」にもう少し留意していただければ...

おもてなしの経営学 アップルがソニーを超えた理由 (アスキー新書)

2011/02/01

フィクションとノンフィクションが見事に融合

『会社がイヤになった』菊入みゆき
[1/19]bk1
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★★☆

タイトルに、まず、惹きつけられる。内容を前もって見ていなかったが、「年代別の7つのストーリー(小説風)とその解説」という前置きに、少々違和感を感じた状態で読み始める(どうもこの手のは「失敗」が多いので。経験上)。しかししかし...「年代別」ということで、最初は20代が主人公のストーリーだが、ここで既に魅入られた。多少なりとも「過去の自分」に重ねあわせる部分、そして「今」自分のチームにいるこの年代のスタッフのこと。けしてタイトルからイメージする「ネガティブ」なものではなく、「この年代ではありうること、考えがちな方向」を見事に描写しており、それについての「心理学的な」解説アプローチ。「あとがき」で著者自身が書いているように、その短い小説の中で、主人公がひとりあるきしているような、現実感、「あるある」(あったあった)感が出ている。
面白い。
先にも書いたけれども、「今」の自分の年代と異なっても、過去の「その時」と重ねたり、未来の自分を想像したり。読める読める。なんだかんだ、仕事(会社と通勤)にその大部分の時間を取られる「会社人間」を演じている現実の中、その環境とまさに合致したリアル感。おもしろいです。
でもやはり深く読めるのは自分の「今」の年代。「44歳」が主人公のストーリーである。
「40代前半が一番モチベーションの高い時期である」
「人生を時間に例えると 40歳が正午」
身にしみる「解説」も手助けして、20代から60代まで、いっきに読んでしまった。何かを「直接的に」得られる、というものではないにしても、「人生」或いは「生きることと仕事をすること」を考えるきっかけになる。「ヒトとして」どう自分と向き合うのか。実は最も大切なテーマなんだろうけれども、これまでは向き合おうとする気がなかったのかもしれない。でも、考えなきゃ。考えるところから何かが始まる。変わる。
そう。この本のストーリーに登場した人たちは、みな、「変わる」ことを成し遂げた。或いは「変わろうとしている」。そこが、魅力的なんだろう。自分にできないことではない。

会社がイヤになった やる気を取り戻す7つの物語 (光文社新書)

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